2007-01-01から1年間の記事一覧

疲労する自意識がたどり着くところ

コミュニケーションが可視化する強度の話。 コンテンツ購入に付属する「自閉するコミュニケーション」の販売。 疲労した人たちに「多様な平等視点」を提供するサービスについて。来年はやりそうなものの続き。 コミュニケーションは強度をあらわにする 「プロ…

たぶん来年流行するもの

流行るのはたぶん、かわいさ原理主義。承認証券による自意識の相場経済。 コミュニケーションの販売。 センスに対する累進課税ルールが敷かれた「平等な」場所。とりあえず前半2 つ。 フラット化しすぎた世界と、価値軸の多様化がもたらすだろう「何か」のお…

「センスを伴わない努力」を担保する神話

それが宗教であってもゲームであっても、結果につながらない、 センスを伴わない「努力それ自体」の価値を担保してくれる「何か」が作れたら、 恐らくそれは、効率のいい集金装置として機能する。 序列の可視化がもたらしたもの ゲームセンターには昔から、…

文章の空力特性

強度の高い文章発信に必要なダウンフォースの話。 空を飛ぶ小説のお話。 文章発信の力学とデザイン、あとは「かっこよさ」の感覚について。 「離陸」との戦い 「強度」を持たない文章は届かない。ところが配慮なしに強度ばっかり増した文章には、 必ずといっ…

弱さを運用する文化

今に始まったことじゃないけれど、弱い人が強く振舞うことが増えた。 この流れを生んだ原因が、未だによく分からない。どうすればいいのかだけは分かってる。 もともと「強い」側に立ってた人達が、本当に強くなればいいだけの話。 でもそれやると血の海だか…

拳を用いた異文化コミュニケーションについて

医:「○○のガイドラインはおかしくありませんか?」 弁:「おかしさの言語定義を行ってください」 医:「こことここ、矛盾していませんか?」 弁:「それは立法の問題です」 医:「この判決は不合理ではありませんか?」 弁:「それは立法の問題です」 医:「なんだか…

勤勉という悪徳

整形外科の手術リストに、「野球肘」のお子さんが載っている。まだ中学生。 少年野球の元エース。 中学校に進級してすぐに肘を壊して、30度以上延びない。手術はできるけれど、 整形外科的には、もう野球は勧められないらしい。 たぶん子供なりに好きを貫い…

twitter を中心にした文章生成作法

この数ヶ月間のやりかた。そこそこうまくいく。 アイデア出しと、それを文章にするまで。あと必要な「量」のお話。 アイデアは一瞬で腐る アイデア出しは twitter 。twit という専用ツールを常時起動しておくと、 クリックから書き込み可能になるまで0.5 秒…

「好き」は誰のものか

善良さを担保するコスト NHK の番組で「わらじ医者」を名乗る医師の特集が組まれていた。 いくつかの施設の院長を歴任した老医師が、そのうちコミュニケーションの重要さに 気がついて、高齢者の電話相談をはじめたり、場合によっては自らで向いて、 その患…

見えなかったものと見えてきたもの

サイトをはじめたのは2000年ごろ。Windows98 の時代。 動機は不純。 下級生にかわいい女の子がいたからだとか、同級生に対する自己顕示欲だとか。 はっきり「これ」というきっかけはなかったけれど、 少なくとも「みんなを啓蒙したい」だとか、「社会に何か…

メディアの正しさについて

電子カルテ話の続き。紙であったり写真であったり、 情報を記録するメディアが進化する方向の正しさについて。 チープメディアの正しさ チープメディアの復権が来る気がする。ラジオとか本とか、あるいは壁の落書きみたいな。 そのメディアに接することはご…

「暴走する正しさ」を止める論理

妥協の産物と思われたやりかたが、実は最適解だったりすることは、 実世界ではたぶん、けっこう多い。 場当たり的なやりかたは、たいていの場合うまくいく。うまい具合に廻っていたのに、 誰か偉い人が「もっと正しいやりかた」を提案すると、 そのやりかた…

もの言う国民が集まる国

たとえば「産科医が幸せに微笑む社会」はもう来ないだろうけれど、 「産科医が笑顔を作らざるを得ない状況」を作り出すことはできる。 医者から笑顔が消えて、僻地医療の現場には人がいなくなってしまったけれど、 今さら医者を笑わせる制度を作っても、たぶ…

法律の人達は神様でも裁いてればいいんだと思う

制御解決と構造解決 昔聞いた話。どこかの老人保健施設は、病棟の廊下がすべて斜めに交差していて、 上から見ると、ちょうど「魚の骨」のような作りになっているのだという。 病室から廊下を歩いて、「背骨」に相当する中央廊下に出た老人は、 道なりに「頭…

「見える」を容易にする技術

たぶん「状況を作り出す技術」と「状況に適応する技術」とがあって、 ニュースに乗っかる新技術というのは、たいていの場合後者のほう。 状況を作り出す技術というのは、地味だったり、 あるいは技術的にはそんなにすごいことをしているわけではないけれど、…

言葉の強度について

たとえば病理学者に患者さんの怪しい組織を見せて、「癌でしょうか ? 」なんて。 「癌です」あるいは「違います、大丈夫です」。これが強度のある言葉 「核に中等度の異型があり、細胞配列がわずかに乱れています」。この言葉に強度が不足 たぶん「強度」と…

学習の道具としてblog はあんまり役に立たない

大昔。そんなに忙しくはないけれど人間は圧倒的に足りてない、そんな病院に一人飛ばされて、 世界と自分をつないでくれるのはダイヤルアップの電話回線一本きり。 馬鹿だったけれど若かったから、せめて電話回線の向こう側の人たちに、 「自分がここにいる」…

将器というもの

身内に医師がいる患者さんを診察するときは、そうでない人以上に気を使う。 実際のところ、頭フル回転させてまじめにやろうが、反射神経だけでいい加減にやろうが、 患者さんの予後はほとんど変わらない、はず。たぶん。 治る人は誰が見たって治るし、そうで…

断絶の影で穏やかに変化する何か

激変している状況のすぐ側で、穏やかで連続的な変化を続けている何かがあれば、 それはもしかしたら、大きく変化した状況の原因になっている可能性がある。 激変の原因に、別の激変をつなげる理解のやりかたは、 分かりやすいけれど、もしかしたらしばしば、…

魔界への手引書

あらゆる交渉には、交渉によって得られるものと失うもの、 「賭け金」に相当する概念があって、交渉ごとをトラブルなく進めようと思ったら、 この賭け金をなるべく安く抑えないといけない。 交渉の賭け金がつり上がっていくと、つまらない利害の対立が、 い…

病名を避ける退院交渉

最近は、病名を使って話をすることを極力避けるようにしている。 「肺炎が治ったから退院しましょう」ではなくて、 「抗生物質を中止しても発熱が再燃しないようなので、あとは外来で…」みたいな。 それが正しいのかどうかは分からないけれど、 そのほうが患…

技術の接木可能性

技術は過去に蓄積してきたものの延長線上にしか発達しえないし、 そうではない、本当に画期的な提案というのは、たいていの場合過去によって潰されてしまう。 それが優秀であろうが無かろうが、今までみんなが使ってきた技術というものは、 「みんなが使った…

無邪気な人とのつきあいかた

無邪気さというものが敵に回ると、展開は最悪になる。 邪気のない人。いい患者でありさえすれば、いい家族でありさえすれば、 いつの間にやら医者には良心が芽生えて、患者さんは「すっかりよくなる」なんて、 心のそこから信じている人。あるいは本当はそん…

ネットからお金を引っ張る方法

ネット世界では、欲求を満足させるための手段は常に複数提供されて、 たいていの場合、その中にほとんど無償に近いやりかたが隠れている。 何を販売しても「無料」ルートが存在する、そんな世界でお金を引っ張ろうと思ったならば、 対価を支払うことそれ自体…

終了判定の問題を考えている人がいた

IHARA Note というblog の紹介記事。 以下は全て、リンク先blog 記事の抜書きと、自分の感想。 指摘されてしまえば当たり前のことなんだけれど、 終了条件が提示されていない問題は解くことができないし、 解決を求められる世の中の問題の多くは、「解決」の…

時を止める人

100年以上生きている人がいる。 寝たきりになって、濃厚流動食を流し込まれてやっと「100」に到達したのではなくて、 100 年という時間ですら、単なる通過点にしかすぎないような人。 どこの病院にも、たいてい1 人ぐらいはそんな方がいて、例外なく異様に元…

見られる自分となりたい自分

目線が人を作るのだと思う。 「こんな人間になりたい」なんて人物像はそもそもありえず、「こうなりたい自分」というのは 「こう見られる自分」の形でしか存在し得ない。 自己というものは本来、他者との関係を通じて記述される何かであって、 それ自体単独…

ルールの実装とソートの実行

ルールを実装して、それを遵守させるコストは、たぶんどこかの瞬間で、 ソートを実行することで、自発的にルールが立ち上がるコストを上回る時が来る。 人がルールを作り、それにより序列が決まるのではなく、ソートを行い、 出来上がった序列がルールを作る…

正しい道と広い道

たぶんこれからは、自分に出来ることを分かりやすい一言で表現する能力が 問われるようになるし、「分かりやすい一言」を自ら提示できない技術や個人、あるいは集団は、 たちの悪い第3者からのレッテル貼りを避けることができないのだと思う。 2兆度の火の玉…

歪む時空のこと

「腕組みしたお父さん」問題 都市部では昔から、うちみたいな田舎でも、この数年増えてきた若いお父さん。 朝お父さんが出社して、お昼に子供が熱を出す。夕方遅く、お母さんが風邪ひきの子供を 近所の病院に連れて行って、夕方すぎて、まだ熱が下がらないか…