2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

知識の渋滞を抜け出すために

知識習得の高速道路化という現象 インターネットの普及や、安価に使える論文データベースの普及に伴い、他の人の知識の成果物の参照が、極めて容易になった。 他の人の技術を自分の参考にするのが容易な業界、とくにプログラマーの業界では、このインターネ…

認識のスケール

何が知りたいのか、状態や経過をどういう空間軸、時間軸で把握したいのかによって、検査の有用性というものは全く変わってくる。 たとえば、「心不全」という一つの病態を把握するのに、現在よく使われるのが、心エコーと血液中BNP濃度だ(他にも聴診や問診…

自然というエンジニアのやりかた

なぜコードを最適化するのですか? 「……そこにコードがあるから。」 エンジニアは常に最適な設計を目指す エンジニアは、たとえ見返りが無くても最適解を目指す。このモチベーションこそが、人間社会をここまで繁栄させた原動力だ。 一方、自然界の生き物を作…

魔法使いの弟子

魔術は「場」の力を借りる技術 一人でできることというのは限られる。重症の患者さんの治療。何か特別な治療手技。医療に限らずどんな業界でも、大きなことをやろうと思ったら他の人の助けがいる。 人は集まって「場」を作る。数人の集団から、病院や会社な…

組織崩壊までの4段階(再掲)

社会にはいろいろな組織がある。病院や会社といった組織。「内科」「医療界」といった、いくつもの施設が集まった、さらに大きな組織。どんな組織にも創業者たる代表がいて、その人、あるいはその組織の求心力に引き寄せられて人が集まり、組織を作る。 病院…

産科の崩壊の雪崩

思考実験 ゴムか何か、変形可能な材料で出来たサラダボウルのような容器の中に、玉を1つ置く。 何もしなければ、玉はボウルの底で静止している。ボウルの中心はちょうど底に当たる場所なので、少々外乱を加えた程度では、玉はすぐにボウルの中心へ戻る。 何…

いまSARSが再燃・流行したら、治療法は?

現在、もしSARSがひろがったら医師はどういう治療法をするでしょう。 国立感染症研究所 の治療の項目を見てください。 ↓ http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/GDID-04.html これが国の機関の答えです。 内科開業医のお勉強日記よりそのまま転載。 …ショック…

競争の中で自分を見失わないために

「医者なんて一生勉強だよ」とよく言われるのだが、別に医業に限ったことではなく、持てる知識や技術を駆使して仕事にあたる以上、どんな職でも一生勉強に違いない。 研修制度が義務化され、すでに一年以上がたつ。制度の受け止め方やこなし方といったスタイ…

痛くないやりかたが正しいとは限らない

道具には痛いものとそうでないものとがある 外科医の使うピンセットや鉗子には、「鈎」のついたものとそうでないものとがある。 左写真、左側が鈎付きの鉗子の先端。右が通常の鉗子。右の写真は、鈎の拡大。 一見すると、鈎無しの鉗子のほうが、組織にやさし…

病院の中の幽霊

ほんの10年ぐらいまで、病院というのは怖い場所だった。 幽霊の噂なんかどこの施設にもあった。 夜の病棟には、首から下のない患者が徘徊する。手術室のエレベーターの中で患者さんの悪口を言えば、エレベーターは霊安室のある階で止まる。天井から人の足、…

速く動くとはどういうことか

のろまな奴は嫌われる 速さは力だ。どんな状況にあっても、動きのすばやい研修医は、そのことで誰かの不興を買うことはない。 もちろん、仕事は早いだけではなく、正確な事だって大事。 それでも、研修医の仕事には、正確さなんか求められない。 たいていの…

事実は発見されるのではなく作られる

強い想像力を持っている人には「100%想像した通りの未来」が訪れるということではない。 そうではなくて、強い想像力を持った人はあまりに多くのディテールを深く具体的に想像してきたので、 訪れるどのような未来のうちにも、「ぴったり想像した通り」…

個人の選択は社会を変える

一人の決断、あるいは少数のグループの決断は世界を動かす。 救世主ものの漫画(北斗の拳とか、風の谷のナウシカとか…)ではあるまいし、実世界でそんなことがおきることはめったに無い。社会的な地位の高い人、あるいは政治力の強い人なら社会全体に強い影響…

病院での正しいプレゼンテーション

医者の世界というのは、つまるところ個人営業の自営業者の集まりで、予算も企画も、自分の判断でやりたい放題。自己の能力の範囲でやれることならば、他人に自分の考えを分かってもらう必要も無い。 医者同士、あるいは他の病棟スタッフ等の交渉の際に必要な…

バトル・ロワイアル

競争に勝つのは楽しい。一方で、負けた奴を見るのは後味が悪い。 競争というのは、要は潰しあいだ。勝ちたいと思ったら、必ず誰かを負かさなければならない。どんな競争であれ、そこには勝者と敗者というものが存在する。勝者は何かの報酬を得、一方で敗者は…