2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

できないことのデザイン

PCを操作するためのインターフェースは、紙テープからキーボードへ、ウィンドウとマウスへと、進歩した。PCの性能が向上して、できることが増えていく一方で、マウスやウィンドウといった、ユーザーから見たPCの顔は、「PCにできないこと」が、より分かりや…

書かれなかったことから見えてくる

情報というのは、書かれたこと以外に、書かれなかったことにも載っていて、それを読むことで、作者が何を伝えたかったのか、外から科せられた制約の中、何を重視して、何を「伝える必要がない」と判断したのかが見えてくることがある。 研修医には制限がある…

ロボットの神様

医療従事者が人であるかぎり、理不尽な思いを受け止めるのは人の役割で、現場からはトラブルがなくならない。 人しかいないその場所に、人が行っていた仕事だとか、判断を、肩代わりしてくれる機械が置かれると、理不尽な状況に居合わせた人の感覚が、怒り以…

経験の伝達には触媒が必要

ベテランの先生がたが持っている知識だとか、経験を若手に伝えるためには、伝えるベテランと、学ぶ若手と、もう1人、その場の道化役、経験伝達の触媒役としての、中間層が必要なのだと思う。 あってはならない話が聞きたい 症例検討会みたいな場所での演者は…

「しかたねぇな」が生み出すもの

半導体というものは、今ではもう、ねじや釘みたいに「あって当たり前のもの」になっていて、高品質、高性能を追求した日本の半導体は、世界レベルだと高価すぎ、高品質に過ぎて、競争力を失っているんだという。 高性能、高品質な商品を生み出す能力を持って…

本が出ることになりました

研修医時代を過ごした病院には、何年も使われ続けてボロボロで、外科の若手が練習がてら、人工血管や人工硬膜で破れた場所にパッチを当てた、 なんだか異様な見た目のソファーがあって、勤務時間を終えた上の先生がたが集まっては、毎日遅くまで、患者さんの…

配列からの自由がほしい

電子媒体でものを書くときに感じる不自由さについて。 カーソル移動が不便 それは電子カルテもそうだし、あるいはblog を書くときのインターフェースもそうなんだけれど、「機械に決められたとおりの配列に従わないと文章が書けない」というのが、電子媒体で…

ネット時代の距離感について

新しい技術として登場したインターネットが、あって当然のインフラになって、「人がそこにいること」の意味は、むしろ増したような気がする。 研修医が減った もうしばらく前からずっとそうだけれど、大学みたいな大きな場所から、研修医がいなくなった。ロ…

高すぎる目標について

こんな症例検討会をやってほしい 珍しい疾患だとか、典型的でない経過をたどった症例は、しばしば「ふとしたことから一気に展望が開けたすごい症例」として、症例検討会で発表される。演者の気づきはすごいことだし、頑張って、ああなりたいなとも思うんだけ…

責任転嫁の技術

正しい医療を現場に広めたかったのなら、正しい医療の講義をするよりも、むしろ間違ったやりかたを分かりやすく解説して、それを笑いものにしたほうが、正しいやりかたが広まりやすい。同じようにたぶん、責任ある態度を現場に広めたかったのなら、責任転嫁…