2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

神様のまずい設計

人間の体はよくできているけれど、ライフスタイルが変化すれば、やっぱり「設計」は古くなる。 胃を切った人は元気 「メタボ検診」の悪影響で、病院に健康診断の患者さんが大挙して、一時大変だった。 普段病院に来ないような人達をたくさん診察して、「胃を…

説得的コミュニケーション

「プロパガンダ」という本を抜き書き改変。 「理由」の意味 コピーを取る列に並ぶとき、何か理由を一言付け加えると、たいていの人は、前に割り込ませてくれる。 理由には意味がある必要はなく、実験によれば、全く意味のない理由をつけて頼んだ場合であって…

見たいものしか見えなくなる

寝たきりの、普段から喀痰でうがいしているような患者さんを、老健施設から受ける。 そういう人は、どこから先が「病気」の範疇で、どこから先がそうでないのかはっきりしない。 熱が出て、呼吸が悪くなったら病院で受けて、なんとか立ち直って、熱が下がっ…

交渉の自然治癒力

ベトナム戦争当時、制空権を握っていた米軍はヘリコプターが使えたから、 撃たれた兵士はすぐに後方に搬送されて、緊急手術を受けることができた。適切な治療が施されたにも かかわらず、兵士の死亡率は高かった。 フォークランド紛争でのイギリス軍は、制空…

「無能な上司」という能力

「皇国の守護者」という、戦記物の小説を読んだ。 戦記物の常で、主人公は能力があるのに低い地位に甘んじていて、軍隊には、無能な上司があふれてた。 主人公が活躍するたび、「無能な上司」はそれを無視したり、足を引っ張ったり、 あるいは間違った判断を…

ヒトデはクモより強い

医局のお話。 医局が独立国家だった時代があったんだと思う 「白い巨塔」時代の大昔には、大学病院だとか、大病院だとかの偉い先生方は、 どういうわけだか地元警察とか、国会議員なんかに知りあいがいて、 自分たちが率いている組織に何かトラブルがあった…

NHK 特集 「戦場 心の傷」

戦争が兵士に負わせる心の傷を特集した番組。大雑把に、前編は男性の、後編は女性の、 それぞれ心に負った傷に焦点を当てて、番組が作られてた。 以下覚え書き。 リアルな舞台での訓練 アメリカの新兵訓練施設には、周囲の風景だとか建物、通行人の風俗みた…

自動体外式除細動器のこと

「うちの人が倒れました」なんて救急要請があって、救急隊が現着してみたら心臓停まってて、 救急車に積んである自動式の除細動器をつけてみたら「心室細動」の表示が出て、 すかさず直流除細動のボタンを押したら、患者さんが復活した、なんて事例が、 今年…

フェアプレーの正しさ

研修医になりたての頃は、「お菓子の家」に迷い込んだような気分。 検査室は24時間フル稼働してたし、けっこう大きな病院だったから、CTだとかMRIだとか、 民間病院の割には、当時としてはずいぶんいいものが入っていた。 何だって診断できる、何億円もする…

停止に対する考えかた

最近読んだ診断学の教科書は、診療という行為を「カードゲーム」に例えていた。 そこに記述されていることは、たしかに正論ではあるのだけれど、全く共感出来なかった。 診療という行為を、自分はむしろ、「鬼ごっこ」だと考えているから。 追い越す感覚 普…

人体のアナロジー

勤勉さとか、専門家とか、成果主義とか。 有能さ 細胞にとっての「有能」「無能」というものは、分化度に相当する。「有能である」ことは、すなわち「それ以外のものになれない」ということを、必然的に意味する。だから何にでもなれるES細胞は、それ単体で…

とどまるために動き続ける

blog とかニュースサイトにおける「成功」について。 大手ニュースサイトを管理している方が、「私をニュースサイト管理人のプロトタイプと考えるのは間違い。 私は特殊すぎる」なんてことを書いておられた。 アクセス数の多いサイトを管理している人は、た…