2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アナログ評価の検査

大動脈圧波形 いま働いている集中治療室では、患者さんのほとんどに動脈ラインがつながっている。 動脈ライン。右の赤いのが波形。 動脈ラインはいろいろなことに使える。血圧や脈拍数は24時間連続して測れるし、 採血も楽だ。24時間体制のICU、1日に4回も5…

情報伝達の遅延と多様性

勤務先で変な風邪が流行っていて、この2日間身動きとれず。気管支からやたらと「いい痰」が出て、 培養に出したらなんか生えるんじゃないかと…。 エンダーのゲーム 寝てばっかりだったので、エンダーのゲーム というSFを読んでいた。 内容はありきたりの宇宙戦…

分かりやすいマニュアルへの試行錯誤(2)

分かりやすい/読みやすいとは 以前書いた病棟ガイドもいいかげん古くなったので、今年こそ内容を書き改めたい。 できれば、もうすこし分かりやすい内容で。 洗脳とか、ゲーム脳化とか、そういった下衆な意図無しのやつを。 工業製品の取扱説明書は、読者に「…

分かりやすいマニュアルへの試行錯誤(1)

あるセカイ系の妄想 内容さえすばらしければ、1つの文章、1冊の本というものには世界を変える力がある。 そんな童貞臭いセカイ系の戯言を、昔は本気で信じてた。 研修医だった当時、聖路加だの虎の門だの、大手のブランド病院は「研修医が書いた」と称する レ…

論文を書くということ

昨日のおしゃべりのまとめ。 アカデミズムに背を向け、ただひたすらに患者様中心の医療に邁進すのは、 全然かっこいいことじゃないです。 臨床のことだけ、治療のことだけ考えて医者をやっていくという選択肢は、 何の覚悟もいらない、楽な道を選択するとい…

ネットワーク化した病院の未来

救急外来のつらさの変化 救急外来の当直空け、朝の5時ごろに煮詰まったコーヒーを飲む頃には 白衣が血まみれだったのは今は昔。 地域の大病院に勤めるということは、その地域に住んでいる人たちの生き死にに対して、 無限責任を負うというのに等しいことだっ…

患者の渋滞について

直線道路でも渋滞は生じる 大学の研究者であった父親が、国土交通省に呼ばれたことがある。 当時の専門は、音響工学だった。 問題点は、交通渋滞の対策。障害物のない道路で、なぜ渋滞が生じ、どう対策すればいいのか。 渋滞中の車の振る舞いというのは、音…

最新の治療は最善ではないかもしれない

医療の進歩は過去を内包している 医療は進歩する。診断技術。モニタリングの技術。新薬や、新しい治療手技。 医療の進化のプロセスというのは、進化論で言うところの断続平衡モデルに似ている。 進化は、長期間の平衡期と、短い急激な変化期とを交互に繰り返…

情報化はマンパワーの差を覆せるか

マンパワーの差を覆すには 厚みで押し切るのが好きだ。圧倒的な物量でもって、相手に止めを刺すまで追い詰めるのが好きだ。 大きさは力だ。マンパワーの乏しい組織、物量の乏しいチームというのは、 大きなチームにはかなわない。 対立するチームの規模が数…

ベッドはどこへ消えた?

ベッドが足りない 医療はどんどん自由化している。大きな病院、救急を断れないような地域の市中病院というのは、 患者さんの疾患を限定できる専門施設に比べて不利だ。小さくて、小回りの効く施設は、 一番「美味しい」患者さんだけにサービスの対象を絞れる…