2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

部長のみっともない治療

研修医の頃 当直帯で「患者さんが苦しがっています」というコールがあったときの話。 心不全なのか喘息発作なのか、目の前の患者さんはとにかく苦しがる。 聴診してもゼーゼーいう音が聞こえるだけで、診断にはつながらない。 1年目だった自分だけでは手に余っ…

正直さと即興性

料理人や大工仕事、手術や心カテに至るまで、様々な職人仕事には、 「正直さ」に優れた人と、「即興性」に優れた人とが存在する。 菓子職人の正直さ たとえば、同じ料理人であっても、菓子職人の凄さと、出張料理人の凄さとでは 意味あいが異なるんじゃないかと…

補給について

最近読んだ「補給戦」という本から。 停止するためには補給が必要~中世ヨーロッパ以前 戦いの作戦を立てる際に、戦術・戦略以外に絶対考えなくてはならないのが補給の問題 最初の軍隊は略奪者の集団だった。食料は現地の村からの略奪による 調達で、河川をう…

交渉ごとにおける原資の問題

どんな交渉ごとにも、賭けごとでの「チップ」に相当する原資というものが存在する 交渉ごとでの原資になるのは大きく3つ。社会的な地位や名誉、お金、時間のどれか 交渉で何かを得ようと思ったら、「どう交渉するのか」よりも、「何を原資に交渉するのか」を考…

性善説と性悪説

7月から、療養病棟の保険点数算出方法が大幅に変わった。 今までは出来高払いの延長。節約してやりくりすれば、たいていの医療行為は 何とかなった。 7月からは、ルールが大幅に変わった。 やったことを問わず、1ヶ月に国から支給されるお金は同額。検査を乱…

父親はどこへいった

悪い話を切り出すのは難しい。 病名がちゃんと分かっていて、悪い予後が避けようもないような病気であれば まだ何とかなるけれど、急変の時なんかは最悪。 一体何がおきたのか。他の医者ならまだ何とかなったんじゃないか。 患者さんの家族は絶対にそう疑っ…