2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

履歴書に傷をつけない転職

この10年で8つの病院に就職した。 この数が多いのか少ないのかは分からないが、ひとつの病院に勤務中に新しいドクターを迎える機会はもっと多かった。 病院の所帯は狭い。内科の医局で20人もスタッフドクターがいるような病院はまれで、たいていは数人単位。…

エンジニアに求められるもの

@ITの掲示板ログから。 コミュニケーション能力を重視したいですね。 プログラマの中には、一緒に仕事をしている仲間がどういう仕事をしているかということに興味すら持たない人が多いように思います。自分の仕事は他人に手出しさせず完璧にこなす代わり、他…

難病の子出産は医師の説明不足

読売新聞の記事。 遺伝性難病の子供が生まれたのは、医師の説明が不十分だったためとして、東京都内の夫婦が日本肢体不自由児協会(東京都板橋区)に計約1億6200万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。裁判長は医師の説明不…

修羅場で情報を伝える

突入したらまず石を投げろ。投げ終わったらただちに突っ込め。 至近距離まで突っ込んで、相手の腹を突け。 絶対に退くな。退いたらやられるぞ。 「突破者」宮崎 学氏が、民青系の学生大会に突入する前に学生に発した命令がこんな言葉であったらしい。 学生同…

実用的な知識/文句を言ってくる人

ある日、ファラデーが一心不乱に電池をいじっていたときに、ある貴婦人が訊ねた。 「そんな役にもたたないつまらないことをして何になるんですか?」 ファラデーはこう答えたという。 「生まれたばかりの赤ん坊が何の役にたつというのですか?」 現場で医者…

心不全の治療

某講演会から。 hANPは心臓をリラックスさせるホルモンである。 心不全の治療戦略 血行動態の改善 カテコラミン、PDE阻害薬 減負荷療法 亜硝酸薬 ACE阻害薬(前負荷軽減) PDE阻害薬、hANP、ACE阻害薬(後負荷軽減) 心筋細胞の保護薬 hANP、ACE阻害薬、アルダク…

美しい治療

患者を死なせたくて治療を開始する医者はいない。 ホスピスをはじめとする終末期医療は例外だが、あちらは「どう生きたか」が目標の科で、「どれだけの時間生きられるか」が目標になる内科/外科とは思想が違う。 患者を受け持った医師はまず治療のプランを立…

患者さんのマネージャーとしての主治医

どんなに大きな病院であっても、集中治療室のベッドの数は限られます。当院はかなり大きな病院ではありますが、集中治療室は7床あまり。ベッドは常に満床で、そのベッドを各科が取り合いになります。 ベッドをコントロールするのは集中治療チームの先生方で…

他科との連携

正しいことを正しく主張して相手を論破しても、人間関係が壊れれば他科と連携して患者を診るメリットは消失する。 特に循環器や消化器の若手は「世界で一番賢いのは俺様だ」という意識が強く、たとえば集中治療部に協力を求める際にも「ベッド管理とバイタル…

ローテート研修総括

研修医が病院内の各科を回るシステム、ローテート方式の研修システムは、そろそろ最後の4半期に入る。いままでいろいろな病院を転々としてきたが、この1年間は大学病院で研修医を迎える側からこの研修システムをみることが出来た。分かったことをいくつか。 …

批判は拳の届く距離で

さあ!! 諸君!! 煽ったり煽られたり 潰したり潰されたりしよう さあ 乾盃をしよう 宴は遂に 今宵・此の時より開かれたのだ ネット上の議論は楽しい。匿名の相手同士は些細なことから議論が始まり、瞬く間に過激な意見の応酬に発展する。 議論の手段は手元のエ…

一人しかいない病院での勉強

知識の習得方法には2種類ある。論文やマニュアル、ガイドラインをひまなときに読んで勉強する方法と、臨床の現場でトラブった時にとりあえずその場を乗り切るためにちょっと調べたり、周りの人から聞いたりして覚えた知識と。 前者の方法は、いくら覚えよう…

組織崩壊までの4つの段階

病院をはじめとする組織、あるいは研修医制度などの何らかの目的をもった制度が誕生してから、それが崩壊するまでの間には、その求心力の根源が4段階に変化する。 すべての組織が同じ段階からスタートするわけではない。しかし、すべての組織は崩壊に近づく…

与えられたルールの中で最善の解を目指す

評論家である前に、一技術者でありたいなと。 他の技術系の職業の方からは違うといわれるかもしれないが、医者という職業もまた技術系の仕事のひとつだと思う。 聖職者や科学者、研究者などではなく、かといって自嘲気味に語られるような奴隷労働なのでもな…

脂肪静注製剤のこと

IVHで長期栄養管理を行っている人は、理論上十分な栄養供給を行っているにもかかわらずどんどん痩せていく("肉"の部分が少なくなってしまう)。 この理由のひとつに挙げられているのが、糖質の代謝速度の上限である。人のグルコース代謝量は、最大で2-4mg/kg/…

「頑張ってますね」は禁句か?

人の誉めかたには、努力の過程を誉める方法と、その結果を誉める方法との2種類がある。 「頑張っていますね」「大変ですね」という言葉は相手の努力の過程を賞賛する言葉だが、声をかけた相手は自分に比べてなにか大変な思いをしている、ということを前提に…

他科との転科交渉

重篤な患者、問題が複雑な患者が救急外来から入院すると、複数の科の医師が同時進行的に患者を診察することが発生しうる。当院では、当座は救急外来/集中治療室が主治医を務めるが、後々になり、どこの科が主治医としてその人を診察するかでもめることがある…

発表用原稿の覚え書き

学会シーズンも近いので。 症例報告などの口頭発表を行う際にも、原稿を暗記していく以外に発表用の原稿を持っていくほうが間違いが少ない。万が一、暗記している原稿を忘れてしまったときなどでも発表中に上がらずにすむ。 口頭発表に持っていく原稿は、普…

狭い医局の教育効果

以前勤めていた病院の医局には、部屋の隅に汚いソファーがあった。 同じソファーセットは15年以上も使われ、買ったばかりの頃は黒い皮の立派なものだったそうだが、自分が研修医として入った頃はもう汚くなっていた。皮もぼろぼろになり、穴があいたら外科の…

研修医の心理的抵抗を解く

尋問官の使うテクニックの一部。 尋問官を上級生、容疑者を研修医という言葉に置き換えてみたがどうもしっくり来ない。 昔書いた怪文書は、5年程前に自己啓発セミナーのトレーナーガイドをもじって簡単に作ったものだが、最近まで随分長いこといろいろな所で…

尋問の方法

リラックスした親しみやすい取調べはたいてい良い結果をもたらす。できる限り早く、記憶が鮮明なうちに取調べを行うべきである。 助けを出す。 そのとき何をしていたか? なぜのそのような行動を取ったのか? そのとき何か他のものを見たのか? 何か他の物音を…

ラボで成功する法則

自分が何をしているのかさっぱりわからない時でも手際よく作業する。 実験結果には再現性がなければならない。つまり常に同じところで失敗する必要がある。 はじめにカーブを描き、次にプロットせよ。 経験とは、壊した器具・装置の数に比例する。 実験デー…

意図的に仲間はずれをつくる

何人かの人が集まる中で会話するとき、集団の中に多数派と少数派とを作ったほうが会話が盛り上がる。 少数派は何とかその状況を脱しようともがく一方、多数派には強力な仲間意識、共同体意識が生まれる。多数派でいるのは楽なので、皆常に多数派であろうとす…

戦いを挑む前に

臨床医をやっていると、いろいろな人とのトラブルはつきものになる。患者さんの家族や、場合によっては患者さん自身と一戦交えようかという場面も決して珍しくはない。 病院内で他の業種の人と喧嘩になりそうになったとき、自分は以下のような点に気をつけて…

相手をその気にさせる看護

訪問看護を専門に行っているナースの中に、時々マインドコントロールの達人がいる。 退院するときに介護することを嫌がる家族、無理に説き伏せて自宅に退院してもらった家族の患者は、少しでも調子が悪くなるとすぐに病院に戻ってきてしまう。 あるとき、「…

相手をその気にさせる技術

退院のムンテラの後押しなどに心がけていること。 相手のインテリジェンスに関係なく、平常心の人はこうした心理学的なテクニックには耐性ができている。一方何らかの手段で心の平静を失った人は、驚くほどこうしたテクニックに引っかかりやすくなる。何らか…

机の配置

話しあいをする際の部屋や机の配置に関する注意。 小さな部屋にたくさんの人が集まると、気分が高まり仲間意識が生まれる。イギリスの議会などは、この効果を高めるために全議員の3分の2が座れるだけの座席しか用意していない。通常出席する人数はこの程度だ…

薬のランクづけ

研修医として入った病院には、深夜の救急外来で処方できる薬剤に階級があった。 夜間の救急外来は研修医が診察するルールであったが、研修医が自分の判断で処方できる薬、処方するのに上級生の許可がいる薬、さらに処方するには責任当直医師の判断を仰がなく…

TungstenE 故障

正月早々、昨年から使ってきたPalmがクラッシュした。大晦日からの当直明け、充電しないで何日間か使っていたためらしい。いきなり固まり、以後は何度ソフトリセットをかけてもOSの起動途中でエラーメッセージが出て動かなくなる。データの読み出しももちろ…

攻撃的な家族との対話

み○も○たの手先なのか、「医者はこちらが監視しないとすぐにミスをする」とばかりにやたらと攻撃的な口調になる患者の家族がたまにいる。医師として普通に接していれば通常は何事もなく退院してくれるが、対処のしかたを間違えるとえらいことになる。こうし…