2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

問題の外に出ること

New England Journal of Medicine という医学雑誌に 「A Medical Mystery」という クイズコーナーがあって、患者さんの簡単な病歴と、たいていは1から2枚の画像所見から 病名を当てさせる。 今週のお題は高血圧の患者さん。 無症状の28歳、1回目の妊娠の時に…

ThinkPad A30のSSD化

IBM A30 という、古いノートPCを使っている。 2000年に買ったもの。ハードディスクを定期的に交換しながら、もう7年目。 今では医局で一番スペックが低いPCになってしまったけれど、 キーボードの感触が良かったり、トラックポイントに慣れてしまったりで、…

円筒の森が見る夢

基本構造は「膜」。それを効率よく折りたたむ構造を追求して、いきつくのが樹木の形。 利用可能な空間リソースは限られていて、臓器の能力は、膜面積に比例して。 細胞の制御は困難だから、構造を記述するルールは単純であることが求められて。 樹木、あるい…

子供の国の不純な医学

口頭弁論。遺族の方々は「命を助けようとする必死さが伝わってこなかった」と訴えた。 大切なのは科学じゃなくて、家族や世論がどう思うのか。そんな時代の生き残りかた。 患者は治癒でなく、感情を買いに来る。問題は生死などではなく、物語の一貫性 「後ろ…

陰口という解毒薬

某所でのやりとりを読んで。 社会は地層みたいな階層構造をとっている。上司と部下、顧客と社員みたいな 地層をいくら圧縮しても、「層」という基本構造は変わらない。 層の違う人とのトラブルは、融和では解決しない 嫌なお客とか、そりのあわない上司の罵…

足りない人が語る夢

研修をした小さな民間病院では、月30万円。 ある程度経験を積んで、大学病院で働かせてもらった頃は、大体その半分ぐらい。 家庭を持ってるとこれでは足りないから、あとはアルバイトで補充。 年次が重なる。いろんな人に会う。 大学教授。僻地を一人で支え…

意識の考えかた

うちのサイトで時々妄想する「意識」とか「脳」に対する考えかた。 脳には「OS」に相当するプログラムなど最初から実装されていない 外部からの刺激に対して、確率論的に最も適切な反応を予測して返しているだけ 脳をコンピューターのアナロジーで描写するこ…

公理の壁を越える技術

助産院のこと 母と子の絆は何よりも大切。分娩後直後は臍帯を切らないで、 お母さんの血液を子供に分けてあげるべき 娩出後の子供に過剰な臍帯血が流入すると肺水腫を生じてしまう。臍帯は速やかに切断するべき 西洋医者は2 番の立場。子供の肺は大切。 けっ…

社会の豊かさと不実の谷

宣教師にぶどう酒を贈る話 村に長年尽くしてきた宣教師が、あるとき村を去ることになった。 村人は、ぶどう酒を一人1杯ずつ持ち寄って樽に入れ、宣教師に贈ることにした。 海に出た宣教師が喉を潤そうと樽の栓を抜いてみると、中身はすべて水だった。 日想…

自分の判断を疑う方法

「解体屋」のやりかた 座っている人に「椅子」という言葉を伝えたとき、 意識は「椅子のイメージ」を拒否できない。 無意識は常に何かを感覚しつづけ、意識はそれを言葉へと変換することで、 臨場感を作り出す。 誰もが行っている「世界の記述」。その行為に…

診断画像の読みかたについて

今の就職先での身分は「一般内科」だから、心臓だけというわけにもいかなくて。 悪性腫瘍の患者さんは外科の先生が診てくださるけれど、あとは脳梗塞とか肺炎とか、 腹痛精査とか、不明熱やら体重減少の精査やら。 CT スキャンとか自分で読まなくなって久し…

「人類は衰退しました」感想

ライフゲームを小説化したものなんだと思う 旧人類はセルの初期パターンに介入できるが、ルールを知らないから結果が予測できない 「妖精さん」は万能だが、その振る舞いは初期パターンに縛られる 「妖精さん」の集合は万能チューリングマシンであり、 人類…

不恰好な力技が作る未来

ギャングネイルがトラスを広めた 鉄橋や塔を作る三角形、「トラス構造」を木材で再現するのは難しい。 少ない材料で高強度が出せるやりかた。合理的で、見た目もきれいだけれど、 構造材は全て斜め組み。木材でこれをやるときは、材料の両端を複雑に削れない…