2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

神奈川県の現状

このあいだ遊びに来た下級生の話。 奈良県の産科事例、例の18病院が救急搬入を断った話は、現場では誰も驚かなかった。 神奈川では、20病院以上に声をかけても搬入先がみつからないのは日常茶飯事だから 産科救急で一番不足しているのが、小児集中治療に携わ…

話しかた

足をそろえる 情報の所有者を明示する 「分からない」ことを恐れない 「自己欺瞞の箱」を上手に使う 全体を見せてから部分を説明する 数あるやりかたの、ほんの一部。 人は足下をみる 会話をするとき、人は必ず足下をみる。 医師の靴をそろえた延長線と、対…

エキスパートシステムのこと

エキスパートシステムのこと エキスパート自身は、自分が何でエキスパートでいられるのかを説明できない エキスパートの人が、自身の行動原理を本気で文章化しようと試みると、 その人はもはやエキスパートではいられなくなってしまう プロの選手とプロのコ…

できる人はみんな正装

社会的に成功した医師であるとか、たぶん多くの技術系の人達というのは、 みんな普段から正装しているか、あるいはその人の正しさを保証してくれる コミュニティを周囲に作って、いずれにしても外から見て「正しい格好」を保っている。 技術要素と営業要素 …

不幸を呼びこむ人

病院ごとの実力を、何かにつけて比較する 改善策の提案よりも、欠点の指摘が好き 同業者をほめることより、けなすことが先 属人的な説明を好む こんな人が近くにいるならば、研修医の人達は、可能な限り距離をおいたほうがいい。 不幸は伝染する 不幸を呼び…

ムカデの足は考える

互恵的利他主義について、もう少しだけ。 ムカデという生き物は、文字どおり無数の足を持っていますが、 実に効率よく、すばやく動きます。 あの足の動きを中枢だけで制御するのは無理です。制御に要する計算量は、 足の数だけ増えてしまい、足が100本を越え…

勇気と恐怖と全体と

ギリシア全土の存亡のかかったテルモピュライの戦い。レオニダス王以下スパルタ重装歩兵300人は、 総数200万とも伝えられるペルシア帝国軍の侵攻を7 日間にわたって阻止した後、全滅した。 スパルタ兵士の戦いかたは、ギリシャ方陣。 右手に長い槍を持って、…

創造的疾患解決手法

昔々、某呼吸器病理の大家が、肺炎で亡くなった患者さんの肺を、 片端から調べ尽くしたことがあった。 肺炎は、細菌が肺にダメージを与えて発症する。肺組織のダメージを病理学的に評価すれば、 組織を見ることで原因菌が特定できるはず。 狙いはこんなとこ…

院長室の秘儀

昔研修していた400床の民間病院では、一晩に当直する医師の数が12人。 救急外来4人。内科2人、外科2人、産婦人科、小児科が各2人。 病院の隣に「夜明かし」という飲み屋さんがあって、そこの奥座敷が整形外科の第2医局。 朝の5時ぐらいまでだったら、そこに…

モデルが現実を駆動する

心不全というのは、最初は「ポンプが作動しなくなる」病気だと理解されていた。 いくつかの発見があって、「ポンプ不全モデル」で説明できない事実が出てきて、今度は 「血管抵抗モデル」という新しい概念が提出されて、心不全という病気は、 今では「内分泌…

犬の名前

ひょんなことから、捨て犬を家で引き取ることになった。 巻き毛の雑種。たぶんサモエドかスピッツ族の血が入っているメス。 SF者が犬を飼うとき、これだけの条件がそろっていれば、 付ける名前はクドリャフカ以外には ありえないんだけど、「意味分かんない…

カミソリが鉈から学ぶこと

うちの学生は、頭の「キレ」でいったら東大にだって負けない。 ところが東大とうちの学校が戦うと、どうしても勝てない。 うちが「カミソリ」だとしたら、あいつらは「鉈」。 戦争になったら、カミソリは絶対に鉈に勝てないんだ。 エンジニアだった父親は、…

クレーム対策試案

クレームの内容には無数のバリエーションがあるけれど、 クレームを通じて得られるものには限りがある。 クレームの内容とか、ましてや「正しさ」なんて、いくら議論したところで喧嘩にしかならない。 「とりあえず謝っとけ」というのが最近主流になりつつあ…

いやな予感の伝えかた

集中治療室の仕事というのは、人間と機械との共同作業。 集中治療室の患者さんは、体中センサーだらけになってベッドに横になる。 患者さんは意識がなかったり、呼吸器につながれて鎮静されていたり。 体中電線だらけ、機械だらけ。診察もろくにできない。 …