2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

人が最後に帰る場所

日常が失われる恐怖 その人にとっての故郷というのは、たぶん介護士さんの顔と声だった。 老人病棟の患者さんは、毎日叫ぶ。ひたすら怖がって、 何やっても叫ぶ。 その人は、前の施設ではおとなしかったらしい。 会話は全くできないけれど。 誤嚥性肺炎を発…

病棟業務の回しかた

できるだけ楽をしたいので、ほとんどメモを取らずに病棟を回してる。 そんな手抜きのやりかたの一例。 病棟業務の問題点 病棟の基本的な業務の流れ 朝病院に来たらナースルームで情報収集 患者さんの回診 ナースルームに戻ってオーダー出し カルテを書きなが…

「みんな」と「あなた」の使い分け

戦いというのは、結局のところ戦力の大きな方が勝つのだけれど、 どれだけ大きな戦力を用意すれば勝てるのか、という問題には、 「ランチェスターの戦争法則」という解答案がある。 剣のような原始的な武器を用いた接近戦では、戦力は兵士の数に比例する。 味…

エンジニアは戦争が好き

昔話3題。 厨房の頃、北海道の大学の工学部の人達とサバイバルゲームをする機会があった。 相手はもう強いなんてもんじゃなく、自分達は撃たれまくって穴だらけ。 腕前のほうでも勝負にならなかったけど、なによりも武器の性能が違いすぎ。 「北海道の平和は…

問題の大きさと未来予測の精度

入院した患者さんと話をするときには、必ずロードマップを示すようにしている。 「今の症状はあと何日したら軽減します」とか、「この症状はすぐに無くなると思いますが、 この症状を無くすにはだいたい2ヶ月前後かかります」とか。 慣れている人間の強みと…

コメント欄について

先日の「不良外科医」様の書き込みについて 当blog は様々な立場の医師のblog の中ではかなり偏った意見を掲載しており、 またコメント欄を開放しています。 言い切り表現を多用すること、やたらと偉そうな、何もかも分かっていそうな 文体で文章を書くことと…

医療はサービスか

その昔、私が行政に飛び込んだ時に行政事務文書の「医療サービス」という用語を見て、 上司に医療をサービスとするのは奇妙ではないか?と疑問を呈したことがある。 今で言うサービス産業と同等に医療を扱うのは奇妙ではないか?と聞いたのであるが、 上司の説…

あいまいさのもたらす豊かさ

病室の中に心電図モニター置かれるようになってから不自由になった。 どうしようもない病気で亡くなる人の病室。 昔は、家族の方が病室に集まって、本人が息を引き取るのをずっとみていた。 息が止まってから、実際に心臓が止まるまでの間には、けっこうな時…

医療過誤に至る物語

船の中から船の動きを知るのは難しい。 動きというのは相対的なものだ。それを測定するには、 何か動かないものを見なければならない。外の景色とか。星の動きとか。 自分自身で自分のことを知るのは難しい。 自分が考え、行動していることは果たして正しい…