嫌話

診療における価値動作

動脈穿刺の秘訣 とりあえず動脈を触れる 触れた指の力を徐々に抜いていく 動脈は丸いので、最後まで触れている場所の真下に中心がある そこを狙って穿刺する 心カテをするには、動脈を穿刺できないと話にならない。肘の動脈なんかは結構深いところにあって、…

生き延びられる場所について

商売をする場所には大きな人の流れというものが必ずあって、 みんなその「流れ」の中に身を置いたり、傍らにたたずんだりしてお金を稼ぐ。 流れは年々厳しくなって、お金を稼ぐやりかたは、これから減りこそすれ、 増えることはあんまり期待できなくて。 生…

藤枝市立病院が不正受給 保険医療機関取り消し

静岡県の藤枝市立総合病院の歯科口腔(こうくう)外科で、五年間に約一億二千二百万円の診療報酬の不正受給があったとして、厚生労働省と静岡社会保険事務局は二十一日までに、健康保険法に基づく同病院の保険医療機関の指定を取り消す方針を固めた。静岡地…

ネットワーク依存性と老化の関係

高齢の患者さんというのは自立が難しくて、 行政であったり医療者であったり、もちろん患者さんを取り巻く家族であったり、 様々な人を結ぶネットワークの「ノード」として、その存在を保っている。 「死に筋」と「生き筋」 たとえば昨日まで元気だった90歳…

「笑い声」が聞こえる頃

最近ちょっと思うのは、ブランドというものを作ろうとするにあたっては、 顧客に対するスタンスを明確にしなければならないなということだ。 (中略)明確にした上では、当然ながら、お客さんを「断る」こともありうる。 むしろ明確になればなるほど、それと…

メッセージの担い手としての代替医療

「生き死に」にかかわる医療はなぜだか叩かれてばっかり。 上手くいって当然。失敗したら訴訟。 高リスクの診療と、高付加価値の診療とは必ずしもイコールでなくて、 忙しい大学病院でやっていることというのは、高リスクの高度医療ではあっても、 それが必…

子供の国の不純な医学

口頭弁論。遺族の方々は「命を助けようとする必死さが伝わってこなかった」と訴えた。 大切なのは科学じゃなくて、家族や世論がどう思うのか。そんな時代の生き残りかた。 患者は治癒でなく、感情を買いに来る。問題は生死などではなく、物語の一貫性 「後ろ…

社会の豊かさと不実の谷

宣教師にぶどう酒を贈る話 村に長年尽くしてきた宣教師が、あるとき村を去ることになった。 村人は、ぶどう酒を一人1杯ずつ持ち寄って樽に入れ、宣教師に贈ることにした。 海に出た宣教師が喉を潤そうと樽の栓を抜いてみると、中身はすべて水だった。 日想…

辺境文化が価値観を変える

「悪いこと」を知るためには、「良い、悪い」のリファレンスを参照する必要があって、 それがお互いに、あるいは社会的に共有されていなくてはならない。 人間社会には良識という基準があって、これを基準にして、「良いこと」「悪いこと」 という命令セット…

犬が好きな人達から学ぶ

始まりは半年ぐらい前。 広島にあった犬の飼育施設が倒産して、たくさんの犬が餓死寸前で放り出されて。 それを救うために「某動物愛後団体」が活動をはじめて、かわいそうな犬の姿が連日報道されて、 全国からボランティアが集まって、おまけに1億円以上の…

開業医の先生が救急外来に立つ日

病院側の味方としてでなく、入院を希望する患者側の代理人として。 少ないものをめぐって対立が生じる それは医師であったり看護師であったり。これから先は「ベッド」。 研修制度が変更になって、医師の雇用が自由化した。自由化して「目覚めた」人達は 都…

現場の狂気と教科書の正気

「喉が痛いので抗生物質下さい」。真夜中の救急外来にやってくるこんな人は、 咽頭痛を治してほしいんじゃなくて抗生物質を内服したくて病院に来る。 外来で「その症状には抗生物質なんて必要ありません」なんてやりはじめると、 患者さんは怒り出す。説得す…

癌の人がこれから困るかも

大昔。研修していた病院の夜間外来。がんセンターからの患者さんが紹介されてきた。 体中ドレーンチューブだらけ。山のような麻薬系鎮痛剤。 「末期○○癌の患者様を紹介させていただきます。 貴院でのご加療を希望されています。ターミナルケアをお願いします…

神奈川県の現状

このあいだ遊びに来た下級生の話。 奈良県の産科事例、例の18病院が救急搬入を断った話は、現場では誰も驚かなかった。 神奈川では、20病院以上に声をかけても搬入先がみつからないのは日常茶飯事だから 産科救急で一番不足しているのが、小児集中治療に携わ…

ユーザーにとっての医療技術

今ではもうアクセスする人もほとんどいなくなったけれど、 うちのサイトはもともと、内科のWEB 教科書を公開するためのページだった。 出回っている教科書というのは、今も昔も、医学を「科学」と考える人達のもの。 中身は「病名」で分類されていて、最新の…

寝たきりの人にとって自然とは何か

痴呆が進んでしまった人というのは、食事が食事として認識できなくなってしまったり、 あるいは嚥下障害がひどくなってむせ込んでしまったりして、食事が口から取れなくなる。 老健施設では責任問題になってしまうから、食事ができない人に対して 「何もしな…

医療費について

「この病院はすばらしい。営利主義でないところがいい。」 ………いやそれ単にあなたにお金を払う意志が無いだけだから。 「前の病院の主治医はひどかった。支払いをしないというだけの理由で紹介状一つ書こうとしない。」 ………お客さん、食堂でお金踏み倒したと…

老人医療の話題とか

老人医療というのは、乾いたぞうきんを絞る世界になっていて、 一食230円の食費を何とかして220円に絞れるよう、 栄養士さんが頭を抱えて苦しむ状況。 介護保険の範囲で医療行為をやろうものならすぐ赤字。 まともなケアなんかできない。 元気の無い高齢者は…

シンガポールの夢の医療制度

破綻寸前のわりにはまだまだ無駄が多いのが日本の医療。 朝の4時に風邪薬をもらいに来る人 湿布だけもらいに来る生活保護の老人 訴訟回避のためだけに行われる、山のような検査 主に世間体とか、年金確保のために生かされる、ほとんど意識の無い痴呆老人 ど…

理解と信仰

オカルトというのは、現象の理解に科学を用いるのではなくて、非科学を用いる体系のこと。 その目的は、怪しげな魔術とか、神話の盲信ではなくて、あくまでも現象の理解。 ここを間違えると、おかしな方向に突っ走る。 信仰も理解の手段 オカルトも科学も同…

夢見る企画屋

えらい人の思い出 ずいぶん前、東北に飛ばされていたときに、大手銀行の会長さんを診察したことがある。 田舎の一人当直。 50も半ばを越えたようなお供の人を3人ほども従えた、ずいぶん立派なおじいさんだった。 高齢でもあり、一応入院を勧めたのだけれど、…

介護はこの先生きのこれるのか

現状と将来 介護病棟は減っていく。現在25万床あるある介護病棟は、 2011年度までに15万床まで減らされる。行き場のない人が10万人増える 福祉に回される予算は、減らされることはあっても増えることはまずありえない 入院できる施設が作られたとしても、補…

記号になった医師の価値

ずいぶん前、島の診療所に派遣されていた医師の話。 僻地の医療に熱意があって、大学から離島の県立診療所へと派遣されていたその医師は、 あるとき学会への出張を県に願い出たらしい。 本土の学会へ出張したいので、その日1日だけ、代理の医師を派遣しても…

文系亡国

何もかも文系が悪い。 技術系はみんな頑張ってる。文系は余計な足を引っ張って、 全てを台無しにする。 医者も理系。みんな一生懸命頑張ってる。 法律家や市民団体は文系の巣窟。連中が、日本の医療を駄目にした。 王監督が退院しない。 プロ野球ファンもそ…

疫病のこと

ほとんどの病気は他人には伝染しない。 針刺しなどによる感染の危険というのはあるけれど、 医者の仕事というのは見た目以上に安全だ。 自分自身は安全地帯にいて、そこから病気に対してできることをやる これが医者の仕事の基本。 伝染する病気を診察すると…

blog 管理者の正体を暴く方法

医師の書いている日記が増えた。 4-5 年前までは本当に少数。blog なんてサービスもまだ無い頃は、 ネット上で何かを書いている同業者なんて、ちょっとしたリンク集に載せられる程度しかいなかった。 Weblog がブームになって、同業者の日記が増え、m3.com …

未来予測

未来予想 2008年:出産券 出産可能な施設の減少を受け、一部自治体で「出産券」の発行が行われる。 里帰り出産等による、地方での予期しない出産を避けるための処置だったが、 ネットオークションでの出産券の売買、偽物の出産券が出回るなど問題点が指摘され…

交渉ごとにおける原資の問題

どんな交渉ごとにも、賭けごとでの「チップ」に相当する原資というものが存在する 交渉ごとでの原資になるのは大きく3つ。社会的な地位や名誉、お金、時間のどれか 交渉で何かを得ようと思ったら、「どう交渉するのか」よりも、「何を原資に交渉するのか」を考…

癒しをもたらす思考の停止

DIYの店にドリルを買いに来る来る人が本当に欲しがっているのは、「ドリルそれ自体」 ではなくて、「ドリルのあける穴」だ。 店員は、どんなドリルが欲しいのかを知りたい 店に来る客は、なんでもいいから簡単に穴を開ける方法を教えて欲しい 店員と客の見ている…

白と黒の争い

ルールは非常に簡単。 黒は自分の力で戦う。何でもできる代わりに、何かの代償が必要。 白は規則に縛られる。正義とか、神とか法とか、そういうものに。 規則の範囲でしか力を使えない代わり、その規則に逆らったものに対しては非常に強力な力を出す。 黒は…