2006-01-01から1年間の記事一覧

未来予測

未来予想 2008年:出産券 出産可能な施設の減少を受け、一部自治体で「出産券」の発行が行われる。 里帰り出産等による、地方での予期しない出産を避けるための処置だったが、 ネットオークションでの出産券の売買、偽物の出産券が出回るなど問題点が指摘され…

人工知能に学ぶ説得の手段

従来の知能の考えかたの問題点 知能があるとはどういう状態なのか。 人間は、一度外界からの全ての情報を受け入れて、脳がそれを処理して全ての命令を出す 従来はこういう考えかたが主流だったけれど、知能を持ったと言えるロボットを作るのは難しかった。 …

そういえば

結城さんの家に「凛(りん)」という名前の娘が生まれたら、 その子供のあだ名は絶対に「有機リン」だなあ…。 夜中に胃洗浄しながら、そんなことを考えた。 スミチオンは頭が痛くなるから嫌い。

蓄積する経験と変成する経験

経験には知識として蓄積するものと、変成してしまうものとがある 蓄積する知識は書物などから取り入れた抽象的なものが多く、 変成する知識は実世界の人間がかかわったものが多い 蓄積した経験は未知の体験に対する耐性を作り上げる一方、 変成する経験はそ…

部長のみっともない治療

研修医の頃 当直帯で「患者さんが苦しがっています」というコールがあったときの話。 心不全なのか喘息発作なのか、目の前の患者さんはとにかく苦しがる。 聴診してもゼーゼーいう音が聞こえるだけで、診断にはつながらない。 1年目だった自分だけでは手に余っ…

正直さと即興性

料理人や大工仕事、手術や心カテに至るまで、様々な職人仕事には、 「正直さ」に優れた人と、「即興性」に優れた人とが存在する。 菓子職人の正直さ たとえば、同じ料理人であっても、菓子職人の凄さと、出張料理人の凄さとでは 意味あいが異なるんじゃないかと…

補給について

最近読んだ「補給戦」という本から。 停止するためには補給が必要~中世ヨーロッパ以前 戦いの作戦を立てる際に、戦術・戦略以外に絶対考えなくてはならないのが補給の問題 最初の軍隊は略奪者の集団だった。食料は現地の村からの略奪による 調達で、河川をう…

交渉ごとにおける原資の問題

どんな交渉ごとにも、賭けごとでの「チップ」に相当する原資というものが存在する 交渉ごとでの原資になるのは大きく3つ。社会的な地位や名誉、お金、時間のどれか 交渉で何かを得ようと思ったら、「どう交渉するのか」よりも、「何を原資に交渉するのか」を考…

性善説と性悪説

7月から、療養病棟の保険点数算出方法が大幅に変わった。 今までは出来高払いの延長。節約してやりくりすれば、たいていの医療行為は 何とかなった。 7月からは、ルールが大幅に変わった。 やったことを問わず、1ヶ月に国から支給されるお金は同額。検査を乱…

父親はどこへいった

悪い話を切り出すのは難しい。 病名がちゃんと分かっていて、悪い予後が避けようもないような病気であれば まだ何とかなるけれど、急変の時なんかは最悪。 一体何がおきたのか。他の医者ならまだ何とかなったんじゃないか。 患者さんの家族は絶対にそう疑っ…

人が最後に帰る場所

日常が失われる恐怖 その人にとっての故郷というのは、たぶん介護士さんの顔と声だった。 老人病棟の患者さんは、毎日叫ぶ。ひたすら怖がって、 何やっても叫ぶ。 その人は、前の施設ではおとなしかったらしい。 会話は全くできないけれど。 誤嚥性肺炎を発…

病棟業務の回しかた

できるだけ楽をしたいので、ほとんどメモを取らずに病棟を回してる。 そんな手抜きのやりかたの一例。 病棟業務の問題点 病棟の基本的な業務の流れ 朝病院に来たらナースルームで情報収集 患者さんの回診 ナースルームに戻ってオーダー出し カルテを書きなが…

「みんな」と「あなた」の使い分け

戦いというのは、結局のところ戦力の大きな方が勝つのだけれど、 どれだけ大きな戦力を用意すれば勝てるのか、という問題には、 「ランチェスターの戦争法則」という解答案がある。 剣のような原始的な武器を用いた接近戦では、戦力は兵士の数に比例する。 味…

エンジニアは戦争が好き

昔話3題。 厨房の頃、北海道の大学の工学部の人達とサバイバルゲームをする機会があった。 相手はもう強いなんてもんじゃなく、自分達は撃たれまくって穴だらけ。 腕前のほうでも勝負にならなかったけど、なによりも武器の性能が違いすぎ。 「北海道の平和は…

問題の大きさと未来予測の精度

入院した患者さんと話をするときには、必ずロードマップを示すようにしている。 「今の症状はあと何日したら軽減します」とか、「この症状はすぐに無くなると思いますが、 この症状を無くすにはだいたい2ヶ月前後かかります」とか。 慣れている人間の強みと…

コメント欄について

先日の「不良外科医」様の書き込みについて 当blog は様々な立場の医師のblog の中ではかなり偏った意見を掲載しており、 またコメント欄を開放しています。 言い切り表現を多用すること、やたらと偉そうな、何もかも分かっていそうな 文体で文章を書くことと…

医療はサービスか

その昔、私が行政に飛び込んだ時に行政事務文書の「医療サービス」という用語を見て、 上司に医療をサービスとするのは奇妙ではないか?と疑問を呈したことがある。 今で言うサービス産業と同等に医療を扱うのは奇妙ではないか?と聞いたのであるが、 上司の説…

あいまいさのもたらす豊かさ

病室の中に心電図モニター置かれるようになってから不自由になった。 どうしようもない病気で亡くなる人の病室。 昔は、家族の方が病室に集まって、本人が息を引き取るのをずっとみていた。 息が止まってから、実際に心臓が止まるまでの間には、けっこうな時…

医療過誤に至る物語

船の中から船の動きを知るのは難しい。 動きというのは相対的なものだ。それを測定するには、 何か動かないものを見なければならない。外の景色とか。星の動きとか。 自分自身で自分のことを知るのは難しい。 自分が考え、行動していることは果たして正しい…

隠す戦略と見せる戦略

大学の研究室には何台ものパソコンが並んでいて、なんだかみんな楽しそうだった。 小学生だった当時は、何をしているんだか全く理解できなかったけれど、 遊ばせてもらったゲームソフトの面白さだけは覚えてる。 ご本尊を見る不幸 昔は大学が遊び場だった。 …

印象操作のやりかた

相談して正解だった 正しいことをいってるみたいだけれどよく分からない 問題は解決しなかったけれど話せてよかった 相談するんじゃなかった 会話の結果にはいくつかの結末があって、正しいことを言っても分かってもらえないことも多いし、 意味の無い会話だ…

病名がつくる境界

誰かの陰口をいうときに、「あいつさぁ、なんか病名つくんじゃねえの…」という表現を使って、 周囲の黒い笑いを誘うのは効果的なやりかただ。 「病名が何なのか」は、こちらからは明示しない。 たぶんみんな、頭の中にある一番ひどい病名が浮かんでる。 病名をつ…

「理想の世界」の像

植物園の温室みたいな、木が茂る廊下を抜けて、光にあふれる道を歩いて。 その先の角を右に曲がると、自分が一番くつろげる世界があるということを何故か知っていて、 その角を曲がってみると…南4階病棟の入り口だった。 「やべ、バイトすっぽかした!!」とその…

癒しをもたらす思考の停止

DIYの店にドリルを買いに来る来る人が本当に欲しがっているのは、「ドリルそれ自体」 ではなくて、「ドリルのあける穴」だ。 店員は、どんなドリルが欲しいのかを知りたい 店に来る客は、なんでもいいから簡単に穴を開ける方法を教えて欲しい 店員と客の見ている…

祟りが支配する複雑な世界

同業者以外からは同意が得られないだろうけれど、医者というのは立場が弱い。 強さとは、「攻撃力」×「打たれ強さ」。 病院と言う限られた空間の中では、医師の攻撃力は非常に強い。 職業倫理さえ捨てる気になれば、もうどんな暴言だって吐ける。 ところがそれを…

「何をしたのか」「どう見られたか」

国家試験受験資格、1年前倒しを=医師不足解消で特例申請へ-NPO法人 全国の医学部生や医師ら400人余でつくる特定非営利活動法人「医学教育振興センター」は12日、 在学中の5年生でも医師免許を取得できるよう医師法で卒業後に限定している国家試験の受験資…

空気の取り扱い説明書

要約 空気は操作できる。 空気を読める人とそうでない人、空気を操作できる人とそうでない人との差というのは、 「空気が扱える」ことに自覚的であるかどうかが大部分だと思う。 基本操作は以下の4つ。 締める 緩める 押す 引く 空気の締め具合、緩め具合を調…

絵を書いて理解する

手術の術式や画像所見の見かたを習うときには、 絵のうまい人から教わると理解が早まる。 言葉で解説してもらうだけではなくて、「どういうスケッチを書くのか」を 一緒に習ったほうがいい 「絵」は見たままをきれいに書くのではなくて、専門科ごとに伝統的な描…

情報の視覚化と祭りの力学

人が道徳に服従するのは、道徳的であるからではない。 道徳への服従は、君主への服従と同じく、奴隷根性からでも、虚栄心からでも、狂信からでも ありうる。それ自体は、それは何ら道徳的なことではない。 道徳的理想の勝利は、他のあらゆる勝利と同じく「不…

現在を楽しめていますか?

昔語り。 今よりもっと年次が下だった頃。 「なあ、○○、俺ァ、こんなに苦労して、業績あげてるのに、こんなチンケな 病院でゴミ箱医者を続けて…(中略)、いま、さる有名病院からリクルートの 依頼が来てる。もうこのままここで仕事を続けてもしょうがないから…