コメント欄について

先日の「不良外科医」様の書き込みについて

当blog は様々な立場の医師のblog の中ではかなり偏った意見を掲載しており、 またコメント欄を開放しています。

言い切り表現を多用すること、やたらと偉そうな、何もかも分かっていそうな 文体で文章を書くことというのも、議論を喚起し、多くのコメントをいただき、 自分の学習の糧としたいという思いからです。

曖昧な単語のイメージに踊らされすぎです。 言葉の定義も間違っています。 主観のみで考えるのもいいですが、 医師としての看板を背負ってネットで発信するのであれば、 せめて辞書くらい引きましょう。 (一部改変)

全くそのとおりなのですが、少しだけ弁明させて下さい。

「もっと勉強せよ」について

マスメディアとWeb メディアとの最大の違いは、 「発信者が読者の批判的な精神を信じているかどうか」 の一点です。

Web に文章を発信しはじめて数年。私は、自分の意見が額面どおりに受け取られないこと、 自分の意見がまた誰かの思考を刺激して、 誰かが自分よりももっと面白い物を書いてくれることを信じて、いろいろな文章を発信してきました。

従って、ネガティブなコメントそのものは大歓迎なのですが、以下のような コメントは困ってしまいます。

  • 「もっと勉強しろ」
  • 「辞書引けや」
  • 「医師の看板しょってこんなもの書くな」

同じ批判的意見でも、ここからは何も得られません。

weblog 時代の良さというのは、通信が双方向であることです。誰かが書いた文章には、 誰でもコメントをつけられたり、もっと過激なところでは自由に文章を編集できたりします。

忙しい仕事の中、何か思いついたこと、疑問に思ったことを 発信して、それに対してコメントをいただけたり、あるいは 解答をいだけたなら、発信者としてそれに勝る報酬はありません。

ところが、勉強しろ、辞書引け、というコメントは困ってしまいます。

勉強する暇がないから、あるいは辞書を引く余裕がないからこういう中途半端な 文章を発信して、「この言葉の定義、こうしたほうがいいんじゃね?」とか、 「この文章、俺が以前書いたこっちの方が圧倒的に面白いよ」とか、そういう意見を 待っているのが本意です。

「勉強する」というのは、大変です。

単に教科書を引けば納得できるなら、それは学習などではなく、単なる調べものです。 調べて、その領域のことを「調べた頭」で 実際に体験して、はじめて学習は完成します。ほとんどの人には、そんな時間ありません。 だから専門家が存在するのです。

中途半端な知識で適当なことを書いているのは、百も承知の上です。

だからこそ、「もっと勉強しろ」ではなく、「解答」、あるいは「対案」を 提示していただきたいのです。

「医師という看板」のもとに文章を書くことについて

「医師の看板」を決めているのは誰でしょうか?

私は、世間には様々な医師の意見があって、その平均値が「医師像」というものを 決めるのではないかと考えます。

Web 時代には、特定の誰かの意見を読んで、それだけで自分の見たもの全てにバイアスをかける 人なんかいません。そう信じています。

意見には、多様性が必要です。

文章を書くときに気をつけているのは、以下の2点です。

  • 「高所から誰かを教育する」などという偉そうな意思を持たないこと。 わざとそうした文体でミスリードを誘う真似はよくしますが
  • 2ちゃんねる」や「m3」といったコミュニティで一つの意見が支配的であったときは、 それに反した内容を書くよう心がけること

「空気」の反対の極端な意見は、「あいつ、バカじゃね?」でも、「実は俺もちょっと反対」でも、 いろいろな意見を誘います。

反対意見が全体をミスリードしてしまう危険は、ネットの広大さが安全装置になっていると 信じています。

うちのページ、404 Blog Not Found様とか、 RinRin王国様といった、リンクを張ってくださる「大手」 に比べれば、圧倒的にアクセス少ないですし。

医師の看板背負ってこんな腐った文章書くな」というのも大切な意見なのですが、 こちらも書きたくて書いてるんだから、こういわれてもちょっと困ってしまいます。

不良外科医師様にお願いしたいこと

「不良外科医」様にやっていただきたいことは一つ。

もっと面白い内容を発信していただくことです。

正しくて、勉強になって、面白い文章を定期的に発信していけば、 必ずみんなそれを読みます。

もっと面白くして、もっと多くの読者を集めれば、うちみたいな弱小は吹っ飛んでしまいます。

様々な意見が支持を集め、また衰退して新しい人達が次々誕生するのがネットという 世界です。

是非、ご自身の意見をネットに発信して下さい。そして、うちなんかが恥ずかしくて何もかけなくなって しまうような、もっともっと面白いページを作ってください。

すばらしい文章を発信して、圧倒的な戦力差で、間違った意見を蹂躙すること。

これは、「書くな」と書いた「不良外科医」様に課せられた義務だと思いますし、一読者として 心から望んでいることでもあります。

よろしくお願いします。