2005-01-01から1年間の記事一覧

Happy Tree Friends 特別番組

当院でも大人気のほのぼのグロアニメHappy Tree Friendsの豪華特別版が、G4というオンラインTVで30分番組として放送されるらしい。 放映予定は、9月8日と9月11日。 本家サイトの過去のアーカイブはこちら。 日本のファンサイト Happy Tree Friends 超非公式…

文章メディアの限界と可能性(後半)

内容と表現は分離可能か 文章メディアが表現する中身というのは、その物語の「内容」と、「文章の起伏」とに大別される。 物語の内容のみ読み出す方法として、「斜め読み」に代表される速読の方法があるが、 そこで置き去りにされた「文章の起伏」とは、文章…

文章メディアの限界と可能性(前半)

小説や漫画。映画やゲーム。 作家や監督の「思い」や体験、意図といったものを伝える様々なメディアは、技術の進歩とともにどんどん増えている。 メディアには、それぞれの特徴がある。長所や短所。得意分野や欠点。果ては製作にかかるコストや流通経路。考…

共有地の悲劇

ある村の中心に、広い共有地があった。村人はこの知の主に羊や牛を放牧するために利用し、その家畜の毛を刈り、乳を絞って生計を立てていた。 共有地には管理人はいないので、誰もが自由に利用でき、放牧する羊や牛を増やしたことによって得られる利益はすべ…

医師の評価つき検索サイトの実現可能性

つながっていないものをつなげてみる 医師と患者はつながっていない。 患者さんの訴えるのは「症状」。医師が専門にするのは「病気」。そもそも目的が違う。 「あなたの症状は、私の専門から外れますね。」 患者さんの症状の原因が分からないとき、「原因は…

冷えて縮んだ世界から医者はいなくなる

業界は冷える。冷えてどんどん縮む。世界全体が小さくなるから、今までのベクトルで苦労をしても、 その努力が今までどおりに報われる可能性は減る。努力という行為にすら「リスク」が課せられるなら、そのリスクの分は、もっと別の方向に生かしたい。 最近…

勝利条件は何なのか

強いだけでは競争に勝てない 豊富な資金、莫大なマンパワーや技術。何かの競争をするときには、こうしたものはとても大きな武器になるけれど、勝負はそれだけでは勝てない。 勝負には、必ずルールがあり、ルールごとに勝利の条件というものが違う。 勝利の条…

児童百科事典という本があった

保育園(家のあった地域は6年保育だった)から小学校に上がるかどうかの頃、家に帰るといつも読んでいたのは百科事典だった。 児童百科事典というのは、当時は百科事典の編集と出版に命をかけていた平凡社が、1959年に出版した子供向けの百科事典だ。 地味な本…

子を奪われた母は子に奪われる

子供は親のすねをかじる。だらしのない子供は、大きくなってもかじりつづける。気合の入った子供は、皮膚を食い破り、筋を貪り、骨を割って骨髄まで啜る。 南の島では、戦争で子供を亡くした親御さんには、毎年終戦記念日になると見舞金が配られるのだそうだ…

変えないことが武器になる

そのイノベーションは望まれているのか 新しい手術方法、新しい処方。クリニカルパスや電子カルテ。病院は、毎日進歩している。 どんな進歩も「患者さんのため」。業界でもっともいかがわしいお題目は、ここでも大活躍だ。 変化を許容できない個人や組織は、…

水と油を混ぜる方法

水をかけると全てのものは変化する。 種は芽を出し、金属は沈んで錆びる。砂糖は溶けるし砂は泥になる。 粉をまとめるには、水を加えて「こねる」必要があるけれど、あまりにも性質の違うものを水でまとめると、収拾がつかなくなる。 チームは性質の違う粒子…

外科の「真意」を意訳する

ベルリン(ロイター) 外国語辞書を出版するドイツのランゲンシャイト社がこのほど、男女間のコミュニケーションをより円滑なものにするため、男性の言葉の真意を「訳す」辞書を発売した。 ランゲンシャイト社によると、男性は日常生活で、女性の半分程度し…

ピラミッドを登ると世界は狭くなる

砂漠の中のピラミッドが林立する世界。 大学を卒業して医者になり、どこかの病院に就職して、特定の分野の専門家になるということは、 このピラミッドを登っていくということだ。 卒業したばかりのとき。右も左も分からない状況で砂漠に放り出された研修医は…

技術は消費されるが芸術は賞賛される

「なぁ…知ってたか?。パリのルーブル美術館の平均入場者数は1日で4万人だそうだ。 この間、マイケル・ジャクソンのライブをTVで観たが、あれは毎日じゃあない。ルーブルは何十年にもわたって毎日だ…。開館は1793年。毎日4万人もの人間がモナリザとミロのビ…

専門性のジレンマ

専門医栄光の時代 どうせ医者にかかるなら、ちゃんとした専門医にかかりたい。現在ほとんどの人がこう考えている。 医者も患者も、専門医を目指す時代だ。 誰もが専門家を目指す。卒業当初の医者は、誰もが「一般医」という名の、 何も出来ない人間に過ぎな…

知識の渋滞を抜け出すために

知識習得の高速道路化という現象 インターネットの普及や、安価に使える論文データベースの普及に伴い、他の人の知識の成果物の参照が、極めて容易になった。 他の人の技術を自分の参考にするのが容易な業界、とくにプログラマーの業界では、このインターネ…

認識のスケール

何が知りたいのか、状態や経過をどういう空間軸、時間軸で把握したいのかによって、検査の有用性というものは全く変わってくる。 たとえば、「心不全」という一つの病態を把握するのに、現在よく使われるのが、心エコーと血液中BNP濃度だ(他にも聴診や問診…

自然というエンジニアのやりかた

なぜコードを最適化するのですか? 「……そこにコードがあるから。」 エンジニアは常に最適な設計を目指す エンジニアは、たとえ見返りが無くても最適解を目指す。このモチベーションこそが、人間社会をここまで繁栄させた原動力だ。 一方、自然界の生き物を作…

魔法使いの弟子

魔術は「場」の力を借りる技術 一人でできることというのは限られる。重症の患者さんの治療。何か特別な治療手技。医療に限らずどんな業界でも、大きなことをやろうと思ったら他の人の助けがいる。 人は集まって「場」を作る。数人の集団から、病院や会社な…

組織崩壊までの4段階(再掲)

社会にはいろいろな組織がある。病院や会社といった組織。「内科」「医療界」といった、いくつもの施設が集まった、さらに大きな組織。どんな組織にも創業者たる代表がいて、その人、あるいはその組織の求心力に引き寄せられて人が集まり、組織を作る。 病院…

産科の崩壊の雪崩

思考実験 ゴムか何か、変形可能な材料で出来たサラダボウルのような容器の中に、玉を1つ置く。 何もしなければ、玉はボウルの底で静止している。ボウルの中心はちょうど底に当たる場所なので、少々外乱を加えた程度では、玉はすぐにボウルの中心へ戻る。 何…

いまSARSが再燃・流行したら、治療法は?

現在、もしSARSがひろがったら医師はどういう治療法をするでしょう。 国立感染症研究所 の治療の項目を見てください。 ↓ http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/GDID-04.html これが国の機関の答えです。 内科開業医のお勉強日記よりそのまま転載。 …ショック…

競争の中で自分を見失わないために

「医者なんて一生勉強だよ」とよく言われるのだが、別に医業に限ったことではなく、持てる知識や技術を駆使して仕事にあたる以上、どんな職でも一生勉強に違いない。 研修制度が義務化され、すでに一年以上がたつ。制度の受け止め方やこなし方といったスタイ…

痛くないやりかたが正しいとは限らない

道具には痛いものとそうでないものとがある 外科医の使うピンセットや鉗子には、「鈎」のついたものとそうでないものとがある。 左写真、左側が鈎付きの鉗子の先端。右が通常の鉗子。右の写真は、鈎の拡大。 一見すると、鈎無しの鉗子のほうが、組織にやさし…

病院の中の幽霊

ほんの10年ぐらいまで、病院というのは怖い場所だった。 幽霊の噂なんかどこの施設にもあった。 夜の病棟には、首から下のない患者が徘徊する。手術室のエレベーターの中で患者さんの悪口を言えば、エレベーターは霊安室のある階で止まる。天井から人の足、…

速く動くとはどういうことか

のろまな奴は嫌われる 速さは力だ。どんな状況にあっても、動きのすばやい研修医は、そのことで誰かの不興を買うことはない。 もちろん、仕事は早いだけではなく、正確な事だって大事。 それでも、研修医の仕事には、正確さなんか求められない。 たいていの…

事実は発見されるのではなく作られる

強い想像力を持っている人には「100%想像した通りの未来」が訪れるということではない。 そうではなくて、強い想像力を持った人はあまりに多くのディテールを深く具体的に想像してきたので、 訪れるどのような未来のうちにも、「ぴったり想像した通り」…

個人の選択は社会を変える

一人の決断、あるいは少数のグループの決断は世界を動かす。 救世主ものの漫画(北斗の拳とか、風の谷のナウシカとか…)ではあるまいし、実世界でそんなことがおきることはめったに無い。社会的な地位の高い人、あるいは政治力の強い人なら社会全体に強い影響…

病院での正しいプレゼンテーション

医者の世界というのは、つまるところ個人営業の自営業者の集まりで、予算も企画も、自分の判断でやりたい放題。自己の能力の範囲でやれることならば、他人に自分の考えを分かってもらう必要も無い。 医者同士、あるいは他の病棟スタッフ等の交渉の際に必要な…

バトル・ロワイアル

競争に勝つのは楽しい。一方で、負けた奴を見るのは後味が悪い。 競争というのは、要は潰しあいだ。勝ちたいと思ったら、必ず誰かを負かさなければならない。どんな競争であれ、そこには勝者と敗者というものが存在する。勝者は何かの報酬を得、一方で敗者は…