2009-01-01から1年間の記事一覧

時が止まっていた

NHKクローズアップ現代で、小学校教育が特集されていた。「最新」の教育手法が、 見ていてなんだか懐かしくて、その懐かしさに、ぞっとした。 紹介された「最新」技術は、自分が昔習ったやりかたに、あまりにもそっくりだったから。 昔からある最新のやりか…

コミュニティにおける祭事というもの

コミュニティにおける正義には、「成果が最大」、「面子の損失が最小」、「嫉妬が最小」の、 3つのレイヤがあって、上位レイヤで正しいことは、必ずしも下位レイヤでの正しさを保証しないし、 上位レイヤで決定されたことは、しばしば下位レイヤでひっくり返…

足すこと引くこと

「その道具を定義する動作」というものがあって、そこに何か新しい動作を「足す」ことは難しいし、 そこから何かを「引く」、あるいは「隠す」と、今度はその道具が持つ意味が書き換えられてしまう。 足すのは難しい 大学に入っていた電子オーダリングシステ…

203高地症候群のこと

「譲れない何かを守るために、あらゆる犠牲を惜しまず戦力を投入しようとして、目標を見失う状態」のことを、 個人的に「203高地症候群」と読んでいる。 こういうたとえ話として、203高地はそもそも正しくないみたいだし、そんなに珍しい状況だとは 思えない…

「もの」と「情報」の界面

命令だとか理屈、説得といったやりかたとは別に、 「もの」それ自体に込められた情報を利用したやりかたは、 その人の振る舞いを、強力に縛れるような気がしている。 風邪に食べ物を処方する タミフルなんかはむしろ例外的で、風邪みたいなウィルス感染症に…

新型インフルエンザ雑感

まだ振り返るには早すぎるのだけれど。 素朴な理解モデルは大切 相手が「未知」である以上、もちろん先に起きることは予想できないんだけれど、 どれだけ未知であろうが、変異しようが、相手がウィルスであるには違いないから、 流行の早い段階で、あるいは…

規格の制定と多様性

景気対策というか、縮小しつつある業界に活気を取り戻すのに必要なのは、補助金みたいなやりかたでなく、 プロダクトをいくつかのモジュールに切り分けて、モジュールのプロトコルを規格で決定して、 プロダクトに多様化をもたらすことなんだと思う。 新しい…

Vista がやっぱり遅かった

自宅で使っていたDell のテレビPC が駄目になって、新しいPCを調達した。 新しい機械になって、OSも、最新の Windows Vista に乗り換えて、動作があまりにももっさりしていて、もうどうしようもない。 ノーマルで使いたかった 自分もそろそろいい年から、PC…

「グダグダ」駆動型の問題解決手法

政府が「まだ感染の拡大を阻止する時期だ」なんていう立場を崩していない中、大阪と神戸の人たちは、「もう感染は蔓延しているから、発熱外来に患者さんを集中させても意味がない」、という認識を表明して、「蔓延期」のやりかたに舵を切った。 恐らくこれか…

状況記述言語について

ライトノベルだとか、ニコニコ動画を見ながら考えていること。 登場人物が喋りだす 売れたライトノベル「涼宮ハルヒ」のシリーズは、なんだかんだ言ってもよくできている。3冊ぐらい読むと、頭の中で、 登場人物が、勝手にしゃべり出すような印象を受ける 「…

プロカルシトニンの社会的有用性について

今作っているのは「症状」で分類した教科書で、患者さんはたいていの場合、何らかの「症状」を抱えて病院にやってくる。 西洋医学は「臓器」で分類されていて、医師国家試験は全ての臓器を網羅しているから、 医師はあらゆる臓器を診察できることになってい…

イベントドリブンは勘弁してほしい

連休中日。外来は毎日大賑わいだけれど、検疫官の人たちが過労で倒れそうな 勢いで頑張っているからなのか、今のところはまだ、新フルエンザ発生、という話は伝わってこない。 人も増やすみたいだけれど、空港は、今の時点ですでに限界超えているのに、 この…

今追っかけているページ

新型インフルエンザに関して、個人的に見ているページのリスト。 全ては公開情報で、基本的に、医療従事者だけが知りうる秘密の情報だとか、 我々だけに伝えられる、特殊な情報ルートとか、世の中にはたぶん存在しないはず。 政府のページ 厚生労働省検疫所 …

被弾したあとのことを考える

1970年代前半、アメリカで新しい考えかたに基づいた攻撃機が設計されることになって、 アドバイザーとして、当時現役を引退していた、ベテランパイロットが招かれた。 実戦というものをよく知っていたその人は、これから作られる航空機に対して、 「被弾しな…

西洋医学のアンチョコ本について

調べて考える余裕のない状況で、とりあえずとっさの対処を行いたいとき、 知らない疾患であっても、とりあえず知っているふりをしたいとき、 夜間に患者さんが急変して、まわりには他に、聞ける人なんて誰もいない状況に置かれたときに、 アンチョコというも…

「病棟ガイド」更新しました

2009病棟ガイドの内容を改めました。 4月21日までにご指摘いただいた訂正箇所の反映 レイアウト変更による減ページ 血液内科領域の話題について、見直しと書き換え

勝手に正しくなっていく教科書を作りたい

たぶんどこの業界でも同じなんだろうけれど、そこで働いていくために必要な知識というのは、 ちょうど樹木のような形をしている。知識の体系を形作るために、あるいは全体の見通しをよくするために、 幹だとか、枝ぶりというものが絶対に必要なんだけれど、…

マニュアルの一部を改訂しました

2009病棟ガイドの内容を改めました。 ご指摘をいただいた訂正事項を反映させました 目次をもう少し細かくしました これに伴い、ページ数が大幅に増えてしまいました

ドッグフードを食べる

コンピュータープログラムを開発する人たちには、開発途中の未完成なプログラムを無理矢理使って仕事をする 時期というものがあって、それを「自分のドッグフードを食べる」なんて表現するらしい。 自分が今作っているものは、コンピュータープログラムほど…

マニュアルを一部改訂しました

2009病棟ガイドの内容を改めました。 循環器作動薬の記載がショボかったので、もう少し詳しくしました 鑑別診断について、「この症状を呈するその他疾患」で逃げていたのを表にまとめました 疾患の種類については、そんなに増やしていません 昇圧薬、降圧薬…

CMDTとの整合をとりました

2009病棟ガイドを改訂しました。 Current Medical Diagnosis and Treatment 2009 年版と、ひととおり内容をつき合わせました 薬がアメリカ人の量になり、全体に増えています このあと日本の教科書をあれこれ読みながら、現実にそぐわない場所を直していきま…

無様にやるのは難しい

相変わらず、教科書みたいなものを少しずつ書いている。 薬の使いかただとか、手技だとか、どうせ書くならば、なるべく「みっともない」やりかたを、 不格好で、誰にでもできるような、熟練した人がそれを読んだら、あまりのくだらなさに笑ってしまうような…

勉強が楽しくなる

このところずっと、内科の勉強が楽しくて、他のことが手につかない。 そもそもが勉強嫌いで、昔は論文を一生懸命読んだけれど、最近はそれも面倒で、 せいぜいが日本語の教科書を月に何冊か、面白そうな分野をつまみ食いする程度だったのだけれど、 今月に入…

マニュアルの一部改訂を行いました

2009病棟ガイドの内容を更新しました。 コメントをいただいた訂正事項の改訂 Mg、Ca 濃度に関する記載の追加 CMDT の参照ページを増量 ANCA の記載が一部逆になっていたのを訂正 あれこれ行って、10ページほど増えています。 追記 急性化膿性胆管炎に対する…

テトリスみたいなチャート表について

今回作った版には、パズルゲームの「テトリス」みたいに入り組んだ表を全面的に取り入れました。 これはもともと、"Cooking For Engineer" - BluePillの別宅 というサイトで紹介されていた、料理の手順をチャート表示するやりかたです。 これはマッシュルー…

それが使われる風景を想像する

4年ぶりに改訂したマニュアルに関するお話。 見た目のびっくり度と、視覚に訴えるわかりやすさを押し出した前の版とは考え方を改めて、 今回作った版は、無難であること、使ってくれる人たちに、それを使う理由を提供できることを目指した。 無難は難しい 自…

マニュアル一部改訂しました

2009 病棟ガイド の内容を一部改めました。 ご指摘をいただいた誤字脱字について、訂正をかけました 文中に出現する疾患名について、リンクを張ることが可能なものについては、参照ページを記載しました それぞれの疾患について、Current Medical Diagnosis …

2009病棟ガイド

2009病棟ガイドというものを作りました。 ある症状を持った患者さんがいて、その人に何らかの検査がすでに行われている状況で、 「次にどうすれば治癒に結びつけられるのか」の手がかりになるものを目指しています。 まだまだページ内参照も不完全で、疾患名…

検査に対する富豪的態度

たとえばCTスキャンのデータ、人体の、何十枚もの「輪切り」写真から、 あらゆる異常を探し出すためには、病気に関する知識、人体の解剖に関する専門的な 知識は欠かせない。 ところが「気胸の有無」を調べるためにCTスキャンを切ると、そこに気胸があるのか…

平凡なおもちゃの非凡な価値

問題が簡単そうに見えたなら、その人はまだ、問題の複雑さを理解できていない。 「解答」に驚きを感じたなら、そのプロダクトは、まだ完成していない 問題に突き当たって、その複雑さを理解できた人が作ったものは、たいていの場合、複雑すぎたり、 あるいは…