Vista がやっぱり遅かった

自宅で使っていたDell のテレビPC が駄目になって、新しいPCを調達した。

新しい機械になって、OSも、最新の Windows Vista に乗り換えて、動作があまりにももっさりしていて、もうどうしようもない。

ノーマルで使いたかった

自分もそろそろいい年から、PCのことをろくに分かりもしないのに「チューン」なんて止めて、 今度買ったVista のPC は、大人の余裕でいい機械を買って、ノーマルのままOSを使おうなんて思っていたんだけれど、 やっぱりVista はもっさりしていて、無理だった。

買ったPC は、Core i7 に3ギガのメモリ、グラフィックボードがGeForceの9500GT だったか、性能的には決して遜色ないものだと思うし、 Vista が表示した「エクスペリエンスインデックス」は5.9 だったから、マイクロソフトの快適基準を満たしているはずなんだけれど、 使ってみると、快適にはほど遠かった。

自分が感覚する「快適」と、マイクロソフトが考える「快適」と、なんだかはるかに隔たっている気がした。

多くの人が、「Vista は遅い」なんて感想を持つ一方で、PC雑誌に寄稿するライターが「決してそんなことはない」なんて反論するのは、 彼らがマイクロソフトの肩を持っているだけではなくて、何を持って「快適」を感じるのか、数値上は「快適」なはずなのに、 どうしてもそう思えない、感覚の、そもそもの基準が違っているのかな、と思った。

遅さにつながる待ち時間

特に「はてなブックマーク」の新着エントリーを一覧表示したときに、自分は、「遅さ」を感覚して、 ごくわずかな待ち時間の増加が、快適度を著しく損ねている気がした。

インターネットで遊ぶときには、今はたいてい、「はてなブックマーク」の面白そうなページからたどるのだけれど、 一覧画面を表示して、マウスのスクロールホイールを「ガーッ」と回したとき、今までのXPパソコンは、遅延することなく、「ガーッ」に画面がついてきた。

Vista にしたら、あたかも画面に質量が加わったみたいに、動作がワンクッション遅れた。 スクロールホイールをぶん回して、回したぶんだけ画面が動くのではなくて、 フォントがいちいち再描画されて、1行1行、すごい勢いで書き直されているような動作。

タスクマネージャーを開くと、8つ並ぶCPUグラフの一つが、100% 近い負荷率をさしていた。 たかだか文字を並べるだけの作業なのに、PCは、やけに一生懸命仕事をしていた。

CADソフトを使っている方の日記なんかでも、 似たような指摘がされていて、Vista というOS は、XP よりも2D 画面の処理がより複雑になって、 それが遅延につながっているみたいなのだけれど、どうしてこういうことをしたのか、 PCの電源入れて、せいぜい使って、インターネットとメールぐらいの、ごく一般的なユーザーとしては、 わざわざ問題を複雑にして、ユーザーから快適さを奪った理由が、よく分からなかった。

結局のところ、いつもの「チューン」に手を出して、スムーススクロールを切って、フォントのスムージングを止めて、 せっかくのAero を切って、ウィンドウの表示を地味にして、なんて順番にやっていったら、スクロールはだんだん軽くなって、 見た目は結局、元のXPと変わらなくなった。

「Aero をオンにしておいたほうが早い」なんて指摘をいくつも見たのだけれど、自分の使い方だと、 クラシック画面のほうが、スクロールが軽く感じた。理由はよく分からない。

待てる遅延と待てない遅延

使ってたときの速さというか、快適さというのは、とても地味なところで決定されるような気がする。

全体の処理時間というものは、快適さにはそれほど貢献しなくて、むしろ全体から見ればごく些細な変化、 ボタンを押してから、外面が変化するまでの速さとか、スクロールホイールに対する反応の、リニアさ加減だとか。

ユーザーは、少なくとも自分は、目的の薄い待ち時間なら、ある程度待てる。

いつも使っているOpenOffice は、新しいPCでもやっぱり遅いけれど、この待ち時間は、どういうわけだか不快に感じない。 Gmail の立ち上がりだとか、ThunderBird がメールを読みに行くまでの待ち時間なんかも、やっぱり遅いんだけれど、不快感にはつながらない。

一方で、ネットのリンクをクリックして、とんだ先がPDF画面だったりしたときには、Acrobat が立ち上がるまでのほんの数秒間が、 とても不快に感じる。スクロールホイールを回した瞬間の遅延なんて、それこそコンマ秒オーダーのものでしかないのに、 我慢できないぐらいの遅延感につながる。

「これからリンク先を読む」だとか、「スクロールした先を読む」なんて、目的がすでにはっきりしているときの待ち時間は、 これはあらゆる機能を偽性にしてでも、コンマ秒を削りに行くべきなんだと思う。

一方で、最初から「待ち」が前提の機能なら、自分なんかだと、OpenOffice は清書目的でしか使わないから、 そういうときの待ち時間は、待っている間に文章考えるとか、頭の中で別のことができて、遅延が不快に結びつかない。

Vista をデザインした人は、ユーザーは、「そもそもパソコンなんか触らない」なんて見切っているような気がする。 お店なんかで、PCを「見た」ときの満足感は、Vista の派手な画面なら、たしかに満足感高そうだから。ユーザー体験というものを、 「使う」ことから得るような顧客は、だからやっぱり、Vista 買っちゃいけなかったのかな、と思う。

今は結局、クラシック画面に戻して、メイリオフォントをMSゴシックに戻して、ディフェンダーを切って、サイドバーも消した。 もはやVista である理由もなくなって、遅延もそこそこ減ってきたのだけれど、それでもまだ、何年も昔に買ったXP パソコン時代の 快適さには、ずいぶん遠い。

他の機能が犠牲になってもかまわないから、ホイールスクロールに対する反応時間をもっと早くする設定とか、 どなたか何かご存じでしたら、教えていただければ幸いです。。