広告のおしゃべり

通過儀礼が事後的に合理化する

機能の豊富さだとか、造形の緻密さだとか、何かを「好みだ」と判断するときの、 合理的な理由というものは、けっこうな割合で、後付けされるものなんだと思う。 判断というのは、やっぱり不合理に行われることが多くて、人間は結局「好み」で いろんなものを…

グレーな需要を掘り起こす

「欲しいもの」と「欲しくないもの」との間には、たぶん「お金を払うほどではないけれど、あるならほしい」という、グレーな需要というものがあって、値下げをいくら行ったところで、お金を支払うという動作がそこにあるかぎり、こうした受容は掘り起こせな…

不便が強みになる

お金というものは、 「説得力のある不自由」を提案できた人に対して支払われる者なんだと思う。 消費者にとっては、便利になるほうがもっとありがたいのだけれど、便利からはお金が逃げていく。 売るものだとか、情報それ自体の価値というものは、もちろん粗…

弱い何かに財布を接続する

自分のためにお金を使う人は減っている。将来への不安とか、不信みたいなものがある限り、この傾向は変わらないと思う。 少し前なら、自分のすごさを表現するために無理して高い車を買うとか、「あえてお金を使ってみせること」というのが、ある種のかっこよ…

「学」は平凡に価値を付加する

根拠なんてなくても、すごい技術を持っていればそれでご飯が食べられるけれど、状況が変わったり、才能のある素人が業界を浸食すると、技術は安く買いたたかれて、最後には業界が滅んでしまう。 業界の仕事が「学」として確立すると、平凡であることにも価値…

案外やっていけるお店のこと

自宅から車で10分ぐらいのところに、小さくて、今にも潰れそうな本屋さんがある。休みの日なんかにそこを通って、人が入っているのを見たことがないんだけれど、もうずっとそこで商売をしていて、風景は変わらない。 店の広さはせいぜい12畳といったところで…

「普通の人」に向けたサービスのこと

恐らくは「便利であること」それ自体には、お客さんは魅力を感じないのではないかと思う。 「便利さ」に価値を見出すのは、新しいものに飛びつくのが好きな、ごく一部の人であって、 お客さんの多くは、便利であることよりも、「自分が真ん中にいる」感覚を…

完璧と無難

ある状況を支配している「完璧」なトップランナーに対抗するときには、 価格競争とか、品質競争とか、そういう努力を始める前に、相手の「完璧」を、 「無難」へと変換する何かを作らなければいけないのだと思う。 チーズケーキを売る店 15ヶ月ぶりに休みが…

見栄と嫉妬の行動学

経済学は、人の振る舞いを、「利得」と「リスク」とのバランスで説明しようとする。 「利得」とか「リスク」に対する感覚というのは、どちらかというと個人的なものであって、 ネットワークを作った人、「社会」の振る舞いは、しばしば「利得」と「リスク」…

足すこと引くこと

「その道具を定義する動作」というものがあって、そこに何か新しい動作を「足す」ことは難しいし、 そこから何かを「引く」、あるいは「隠す」と、今度はその道具が持つ意味が書き換えられてしまう。 足すのは難しい 大学に入っていた電子オーダリングシステ…

サービスの考えかた

認知症の厳しい99歳のお年寄りが今入院していて、看護師さんがそのまんま、 「認知症が厳しくて大変です」なんてご家族にお話ししたら怒られて、 病棟で、「あの家族は厳しいから気をつけて」なんて申し送りしてた。 何かが間違ってると思った。 接遇向上の…

寄付の依頼が来た

なんかいろんな人の不興を買ったみたいなので、この記事は消します。 ミスリードばっかりの記事を配信して、どうも大変申し訳ありませんでした。。。。。

「勝つ予感」はデザインされる

恐らくは「名将」なんて持ち上げられるような人というのは、あとから冷静に振り返ってみると、 案外「ショボい」勝利しか上げていないような気がする。 「名将」はその代わり、大きすぎる問題を切り分けることが上手で、「小さく解決する」やりかたをデザイ…

形が機能を支配する

形が機能を支配する 待合室に座っている患者さん達が、携帯ゲーム機で遊んでた。 大人も子供も、イヤホンつけて、膝の上にゲーム機抱えて、みんな同じ格好をしてた。 そこで行われているのはゲームだけれど、ある意味その姿は、未来の風景の先取りなんだと思…

文化は誰のものか

医師がまだ「プロ」として認知されてた大昔、自分たちは病院内で自由に振る舞って、 患者さんは慎み深く、トラブルなんてなかった。 技術だとか、知識だとか、彼我の差は圧倒的で、だから病院は聖域であり得たし、 トラブルが起きたところで、もしかしたらた…

弔辞の比較

赤塚不二夫 氏の葬儀で、タモリが読んだ弔辞の比較。たぶんそこに集まった記者の人が聞き書きしたものだけれど、 新聞社ごとの立ち位置とか、葬儀に集まった人に対する考えかただとか、いろいろ邪推できて面白い。 比較したのは朝日新聞と、産経新聞。産経新…

「医学的」は案外狭い

年次が上がるにつれて、当直とか徹夜とか、だんだん辛くなってきて、 「深く眠る」、ただそれだけのことが、今はすごく切実。 求めるものはみんな一緒。上の先生がたは、エルゴフレックス という寝具を使ってて、けっこう調子がいいらしい。 マットレスと敷…

「絶対効かない薬」はよく売れる

一番いいのは「必ず効く薬」だけれど、「絶対に効果のない薬」にも、たぶんそれなりの使いようがある。 効くのか効かないのかはっきりしない薬であったり、たいてい効くけれど、 時々効かない薬というのは、たとえ高い効果が期待できても、 「大事なお客さん…

暫定税率のニュースを見た

ガソリンの暫定税率がまた復活することになって、「安価なガソリンは今日まで」なんて、昨夜のニュース。 いろんな立場の政治家が,インタビューに答えたり、記者会見を開いたりしてた。 気がついたことのメモ。 「笑顔」は難しい そもそも暫定税率の問題自体…

技術の未来互換性

今年発表されたマルチスライスCT は、一度に320枚の画像が切れるらしい。 1 回転 0.3秒。0.5mm スライスで320枚。 一度に得られる情報量をここまで多くできると、冠動脈をほとんど末梢に近いところまで、 かなり正確に撮影することができる。まだパンフレッ…

動作に最適なデザインのこと

オリンパスの新しい内視鏡セットが届いた。ディスプレイがすべて液晶画面になって、 内視鏡の光源とか、制御システムなんかも小型に、使いやすくなった製品。 今度のバージョンは、ディスプレイも、入力用のキーボードも、すべて3関節あるアームを介して、 …

技術の欺瞞 広告の欺瞞

技術や企画、営業や広告、それぞれの職種には、たぶんそれぞれ持つべき 欺瞞のスタイルというものがある。 欺瞞を捨てた、全方向的な「よさ」を追求した先には、魅力的なプロダクトは生まれない。 「いい」製品と、魅力的な製品というものは異なっていて、商…