机の配置

話しあいをする際の部屋や机の配置に関する注意。

小さな部屋にたくさんの人が集まると、気分が高まり仲間意識が生まれる。イギリスの議会などは、この効果を高めるために全議員の3分の2が座れるだけの座席しか用意していない。通常出席する人数はこの程度だし、重要な議事の際には立ったままの人が現れるが、それが緊急性の雰囲気を高めることにつながる。

一方で、この効果は退院を渋る家族との話し合い、クレームの対処といったときには向いていない。相手の力がすべてこちらに集中しやすく、また多人数を相手にした際には雰囲気が殺気立ちやすい。こうしたときにはむしろ、広い部屋を用いたり、あえてナースルームの隅を借りてムンテラを行ったりすると相手の気を殺ぐ効果が期待できる。

議論のエネルギーを効果的に高めるためには、議事録を張ったホワイトボードを半円形に囲むような椅子の配置が推薦されている。議論から何かを生み出そうとする際には、テーブルを囲んで座ってはならない。テーブルを置くことはわざわざ垣根を作るような物で、お互いの信頼関係を築くことが難しくなる。

逆に攻撃的な家族を相手に話しあいをせざるを得ないとき、テーブルはメモや飲み物を置くための台になるとともに自分を守る防波堤となる。いろいろな書類が目の前に散乱していると、それを読んだりしているうちに注意力が散漫になる。

円形に座ると、向かい合った人どうしがエネルギーを交わすことになり、医療者側に家族のエネルギーが集中するのを防ぐことができる。この配置は、もっとも攻撃的な相手は目線を合わせようと医療者から最も遠い座席に座ることが多くなる意味でも効果的な配置になる。

空席をうまく利用する。単に席が空いているというだけではなく、空席は会議室にあいた穴のような物で、議事のエネルギーを逃がす効果がある。