難病の子出産は医師の説明不足

読売新聞の記事

遺伝性難病の子供が生まれたのは、医師の説明が不十分だったためとして、東京都内の夫婦が日本肢体不自由児協会(東京都板橋区)に計約1億6200万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。裁判長は医師の説明不足を認定した上で、1審が認めなかった介護費用約3490万円を含む、約4830万円の支払いを命じた。

医療過誤判例集より。

本件の原告である両親Xらの長男A(平成4年1月生まれ)は、出生後まもなく眼振をともなった運動遅延が見られたため、ペリツェウス・メルツバッヘル病(以下「PM病」)に罹患している疑いが持たれた。そのため被告が開設するYセンターに通院していた。 両親は長男の受診の機会に、B及びC医師それぞれに対し、「次の子供を作りたいが大丈夫でしょうか?」と質問した。回答の文言については、原告・被告間で争いがあったようだが、判決では、B医師は原告らの家族に同様の症状を持つ者がいないことを確認したうえで、「私の経験上、この症状のお子さんの兄弟で同一の症状のあるケースはありません。かなり高い確率で大丈夫です。もちろん、長男がそうであるように、交通事故のような確率でそうなる可能性は否定しませんが。長男の子供に出ることはあるが、兄弟に出ることはまずありません」と回答したと認定されている。

Pelizaeus-Merzbacher病はミエリンのproteolipid proteinを合成するための遺伝子の変異が原因の疾患で、性染色体性劣性遺伝とされているが、女性保因者の発症の可能性もあるらしい。出生前診断も可能とされているが、このケースではなされなかったのだろうか?

いずれにしても一審よりもさらに厳しい判決で、医療者側の説明責任が現在いかに厳しいものであるか、再確認させられる内容。

「先生、大丈夫でしょうか?」という質問にはっきりYes/Noで答えるのは昔から地雷を踏む行為といわれてきたが、これを裁判所も認めるようになったわけだ。

要するに、医者は患者さんからの相談には一切応じるなということか?

今日のカテのムンテラどうしよう…。