社会工学

恐怖と信頼

「状況の無防備さ」と「猜疑心」とを積算したものが「恐怖」の総量となる。猜疑心が低くなると、信頼は高まっていく。 無害な人間と、信頼できる人間とは異なる。いざというときに、無害な人間は頼られることなく、むしろ真っ先に切り捨てられる。信頼できる…

理解と納得

劇作家の平田オリザが書いた本からの抜き書き。 演劇という技術 演劇の技術とは、自分の妄想を他者に伝える技術である。それが技術としてたしかなものであるならば、それはある程度の部分まで言語化できる 人間は人間を正確に把握することなどできない。だか…

ガタがあるからうまくいく

先週の日曜日には、熱を出した子供さんが100人近く来た。休みが明けて、外来が始まって、 もちろん「それ以上」を覚悟していたのだけれど、外来は、平和なままだった。 インフルエンザはたしかに流行しているんだけれど、パンク寸前の休日外来は、 みんな「…

ゲームとジレンマ

ゲームとは 問題の中心にジレンマがあって、参加者が、自らの選択を通じてジレンマの解消を試みるとき、その状況は「ゲーム」であると言える。 ゲームにはルールがある。ルールとはジレンマの設計であって、よくできたルールは、 ジレンマの観察が容易で、「…

ユーザーは狭く見る

Google の新しいブラウザ 「Chrome 」を使った感想。 Chrome は速く感じる 今まで使っていて、なんの不便も感じていなかった Sleipnir が、どうにも調子が悪い。 中で動いているIE8 の問題なんだろうけれど、 blog の更新だとか、コメント欄の管理だとか、エ…

予想どおりに不合理

予想どおりに不合理 という本の抜き書き。「行動経済の本」とあったけれど、むしろ心理学とか、マーケティングの本だと思った。 「おとり」の効果 選択枝に「おとり」を設定すると、特定の選択枝に、顧客を誘導することができる 似たような製品が販売されて…

「コンマ秒」の改善が人の振る舞いを変える

n-clickを1-clickにすると商売になる。1-clickを0-clickにすると革命になる。 待ち時間を短くすると、みんな「便利だ」なんて思うけれど、人の振る舞いは、そんなに変わらない。 短くなった待ち時間をさらに短く、「ゼロ」に向けた最後の最後、ごくわずかな…

政治家の作法について

大義を運用して、道義でもって対象を操作することが政治家の「アート」であって、 それを怠ったり、ましてや政策なんてものに頼るような人は、政治家になってはいけない。 阪南市立病院のこと 阪南市立病院で、2000 万円の報酬で働いていた医師が、 市長の交…

舞台装置がプラットフォームになる

大きくなりすぎた問題に対して発生するかもしれない無関心のお話し。 新大統領のこと 新しい大統領を警護する人達は、今頃頭抱えてるだろうな、とか想像する。 オバマ大統領が劇的な勝利を挙げて、「負けた」感覚を味わった人は、たぶんすごく多い。 勝った…

嫉妬が生みだす公正な社会

田舎の常で、マイナーな漫画本だとか、ハヤカワのSFだとか、本屋さんにほとんど売ってない。 最近はだからAmazon ばっかりだけれど、発注かけて、題名検索して、実物手に入る前に海賊版が 見つかったりすると、なんか落ち込む。 海賊版は便利 特によく売れて…

扇動の技術

バスが遅れる。待っている誰もがいらつく。不満のエネルギーが貯まる。 「バス会社はバスの増発を行うべきだ」という提案は、改革者のやりかた。 みんなが持っていた漠然とした不満は、現実的な提案へと落とし込まれる。 問題は解決するけれど、話はそれで終…

「無能な上司」という能力

「皇国の守護者」という、戦記物の小説を読んだ。 戦記物の常で、主人公は能力があるのに低い地位に甘んじていて、軍隊には、無能な上司があふれてた。 主人公が活躍するたび、「無能な上司」はそれを無視したり、足を引っ張ったり、 あるいは間違った判断を…

NHK 特集 「戦場 心の傷」

戦争が兵士に負わせる心の傷を特集した番組。大雑把に、前編は男性の、後編は女性の、 それぞれ心に負った傷に焦点を当てて、番組が作られてた。 以下覚え書き。 リアルな舞台での訓練 アメリカの新兵訓練施設には、周囲の風景だとか建物、通行人の風俗みた…

人体のアナロジー

勤勉さとか、専門家とか、成果主義とか。 有能さ 細胞にとっての「有能」「無能」というものは、分化度に相当する。「有能である」ことは、すなわち「それ以外のものになれない」ということを、必然的に意味する。だから何にでもなれるES細胞は、それ単体で…

「元気玉」の社会的有用性

「外傷がひどくて血が足りません。知りあいを当たって、A 型の血液を集めて下さい」なんて、 ご家族に協力を依頼できた時代は、あるいは医師-患者間のトラブルは少なかっただろうなと思う。 その頃はまだ、そこに集まった全ての人が、患者さんの治癒に貢献で…

事象が社会と接続される

秋葉原の無差別殺人事件を見ていて思ったこと。 青年が「巖頭之感」という遺書を残して華厳の滝に飛び込んだ、昔の事件を思い出した。 個人と社会とを切断することに失敗して、事件が社会に接続されてしまった例として。 行動規範が一人歩きする その人が亡…

物語と利権

「この物語が広まって誰が特をするのかを考えましょう」なんて、道徳の授業でやってほしい。 「みんなで助けあいましょう」だとか、「高齢者を敬いましょう」だとか、道徳含んだ物語の読み聞かせ。 自分たちが子供の頃だと、「このときの主人公はどんな気持…

貨幣がもたらす秩序

中国の被災地で、援助物資の横流しを行っている人がいるとか、 市民による略奪が起きたり、被災地は暴動寸前だなんて報道を見た。 「貨幣」というものは、あるいは秩序をもたらすのかもしれないなんて、ちょっと考えた。 災害現場に銀行を作る 今のやりかた…

腐った立ち位置のこと

「かっこわるさ」というラベルにはすごい力があって、一度「それはかっこわるい」というラベルを貼られた考えかたは、 たとえそれが正解であっても忌避されてしまう。 「正しい」のに「かっこわるい」、そんな何かをみんなが避けると、それはもしかしたら、…

ミームのこと

ウィルスみたいに「広まる」文章は、「権威付けがなされていること」、 「具体的であること」、「読者を鼓舞すること」といった、共通する性質を持っている。 内容が不正確であったり、勧めていることが違法であったりしても、 たぶんこんな条件を備えた文章…