ThinkPad A30のSSD化
IBM A30 という、古いノートPCを使っている。
2000年に買ったもの。ハードディスクを定期的に交換しながら、もう7年目。 今では医局で一番スペックが低いPCになってしまったけれど、 キーボードの感触が良かったり、トラックポイントに慣れてしまったりで、手放せない。
買い換えようにも、もうIBM は無くなってしまったし。
そろそろ前のハードディスクが古くなるころで、 同じものを交換してもよかったのだけれど、今回はシリコンディスク化することに。
きっかけになったのは、以下のサイト。
ハードディスクの使用を止めて、それをシリコンディスクに置き換えることで、 OSの立ち上げが早くなったり、あるいは安定化したりといったメリットを生じるらしい。
リンク先では、みんなコンパクトフラッシュメモリを購入して、 シリコンディスクを自作しているみたいだけれど、 そんな根性も無いので製品化されているものを探す。
購入したのは サムスンのMCAQE32G5APP-0XA という、32GB のソリッドステートディスク(SSD)。
SSDはトランセンドとサムスンの2社が販売していて、トランセンドのほうがわずかに安くて、 性能は大体互角。
その代わり、ネット上で「使ってみました」と言う話題が多いのは、圧倒的にサムスンのほう。 普通に交換すればハードディスクとして認識されて、そのまま問題なく使用できるらしい。 コンパクトフラッシュからシリコンディスクを自作するやりかたは、メーカー品を買うよりも 圧倒的に安価だけれど、外付けディスクとして認識されてしまったりとか、いろいろ 厄介なことも多くて、素人にはちょっと手が出せない。
サムスンのSSD は、32GB の製品で、安いところで69000円ぐらい、高い所で7万円ちょっと。
ユーザーズサイドという老舗のパーツ屋さんがこれを扱っていたので、 今回はそこから購入。
代金引換での購入ができて、注文してから4日目に到着。基本的に返品不可能の同意書と、 やたら厳重な梱包と。マニュアル無し。
ノートPCから今まで使っていたハードディスクを引っ張り出して、大まかな外見は全く同じ。 SSDには金属部品が一切無いから、重量は不安なぐらい軽い。
取りつけも問題なく終了。で、立ちあげてみて、BIOSからハードディスクが認識されない。何で ?
手元のディスクバックアップソフト(TrueImage)とWin2000のブーとディスクを試しても同じ。 「ディスクが見つかりませんでした」のメッセージが出ておしまい。
元のハードディスクに戻してやると、何事もなかったようにOSが起動する。 この時点でそうとうイヤな予感。
日本サムスンのサポートに「動きません」とメール。 1日経って返事が返ってきて、「その製品は日本では取り扱っていないので、サポートできません」 とのこと。
しかたがないので、ユーザーズサイドのサポートにメール。すぐに「検証しますので送ってください」 という返事をいただき、ペリカン便で秋葉原へ。
3日後返信。「普通に動作しました」とのこと。現物は再び当方へ。返送料は販売元が負担してくれた。
この間に2.5 インチハードディスク用の外付けケースを購入。1200円。返送されたSSDを これに入れてみると、普通に「32GBの内蔵ハードディスク」として認識された。 やっぱり相性の問題なんかじゃなさそう。
SSDを病院に持ってきて、もう一度ハードディスクを換装。やっぱり認識しない。 原因が分からないので、耳鏡で覗いてみると、端子がソケットから外れていて、 まともに挿入されていないのが原因だった。
ThinkPad はハードディスクの交換が簡単にできるように設計されていて、 ネジを1本外せば、ハードディスクが簡単に引っ張り出せる。ところがこの設計が仇になっていて、 規格が微妙に違うハードディスクを挿入すると、端子が正しい位置に挿入されない。 サムスンのSSDは、今まで使っていたハードディスクよりもわずかに薄かった。
結局、隙間から舌圧子をいれて、SSDをわずかに持ち上げながら位置あわせ。 今度は何事もなかったように認識された。
TrueImage のディスクコピー機能を使って、古いハードディスクの中身をSSDに書き戻して、 その後問題なく動作中。
反省
- 慣れない奴が新しい物に手を出すもんじゃない。SSDはまだ新しすぎて、店によっては 無料貸し出しを受け付けるところもあった
- 秋葉のパーツ屋さんは親切だった。サポートが迅速で、助かりました…
- 相性とか不良品を疑う前に、まずは自分の手技を疑うべきだった
- 病院には便利な道具が結構ある
使ったもの
- サムスン製の32GB SSD 7万円
- Acronis True Image パーソナル ホームセンターで2000円程度。もともと持っていた
- 2.5 インチIDE外付けハードディスクケース 1200円。古いハードディスクを再利用するためのもの
変わったこと
- A30はもともとの筐体が大きくて、昔のハードディスクのときから、音はほとんど気にならなかった。 今はもちろん「無音」だけれど、あんまりありがたみは感じていない
- 起動時間はたしかに早くなった
- ブラウザの起動時間とか、アクロバットリーダーやPowerPoint の起動時間は、 明らかに短縮された。これは快適で、今までみたいにイラつくことが減った
- 普段の紹介状書きとか、あるいはblog 書きなんかに使っているのはエディタだけれど、 こういった軽いソフトを使って文章を書いたりする分には、体感速度の向上は 全くといっていいほど感じない
- Win98とかMEを使っている場合、OS が落ちにくくなるらしいけれど、Win2000は もともとめったに固まらないので、今のところ御利益は分からない
全体に少しづつ快適になった感じ。
7万円払う価値があるのかどうか、今の段階では、まだなんとも言えないけれど、 今の状態でも、自宅のパソコンよりは十分に快適。
自宅で使っているのはDell のデスクトップで、まだまだ最新に近い製品。 メモリも2GB積んでいるし、CPUのクロックもA30の2倍以上。
性能的には圧倒的に快適でないとおかしいのに、WinXPを入れた自宅のパソコンは、 何となく動作がもっさりしていて、技術の進歩を実感できないでいる。
- 電源を入れたらする起動すること
- アプリケーションを立ちあげたらすぐに使えるようになること
パソコンに求める「快適さ」というのはこれだけなんだけれど、 OSのバージョンが上がるほど、アプリケーションのバージョンが上がるほどに 起動時間は延びていって、パソコンの性能が向上しても、このあたりが直らない。
今使っている古いノートは、Officeも2000から買い替えていないし、 いろいろ入っていた市販のアプリケーションは、立ちあげるのが面倒くさくて、 結局ふだん使っているのは、エディタとLaTeX ぐらい。エディタなんかは立ち上がるのに 1秒とかからない。これに慣れてしまうと、もうWord なんて使えない。
ゲームとか、ベンチマークソフトとか。トップスピードが要求されるソフトなんかは、 たぶんパソコンの進化を実感するのに最適なんだろうけれど、普段使いをするときには、 技術進化はあんまり実感できなくて、むしろシリコンディクスの導入とか、軽いソフトを 使ったりとか、そんな小手先のやりかたが、今でも案外効果があって。
電源入れて1秒でOSが立ち上がるとか、アプリケーションの起動が爆速とか、 そんな方面の快適さを前面に打ち出したパソコン、どこか作らないだろうか…。