マニュアルについて

クッキングチャートの文法

"Cooking For Engineer" - BluePillの別宅 で紹介されていた、 料理の手順をチャート表示するやりかたが面白すぎる。 「NSチャート由来だろう」なんてコメントがついていたけれど、たしかによく似ている。 クッキングチャートは、フローチャートみたいな条件…

アートとクラフト

「クラフト」というのはまず素材があって、そこから何が作れるのかを考える立場。 「アート」というのは、まず作りたいものがあって、その表現手段として、 素材が選択されるやりかた。 技術はたぶん、「アート」から始まって「クラフト」へと移行する。 成…

量産型はダテじゃない

昔から救急外来という場所が好き。怖いし疲れるし、 最近は、いろんな人から文句言われたり訴えられたり、 ろくなことが起きない場所なんだけれど、それでもやっぱり救急が好き。 リスク回避の手段を前から考えてる。リスク管理の問題さえ解決できれば、 こ…

機械親和的な問題定義言語

正しい問いは答えを含んでいる たとえば「このだるい身体を何とかして下さい」という問いには誰も 答えを用意できないけれど、「40代やせ型女性。半年前からの動悸、体重減少、 発汗。診断は?」なんて問われれば、国家試験前の学生ならば 10人が10人、「甲状…

優秀な技術者は優秀な需要を抱えた人に降りてくる

ひとつ前の話の続き。 何でそこまで簡単な医療マニュアル、Lightweight Language 的なやり方にこだわるのかというと、 それは「技術を深く理解していることと、優秀なアウトプットを出し続けることとは根本的に異なる」 という思いがあるため。 たとえば炎症…

分かりやすいマニュアルへの試行錯誤(2)

分かりやすい/読みやすいとは 以前書いた病棟ガイドもいいかげん古くなったので、今年こそ内容を書き改めたい。 できれば、もうすこし分かりやすい内容で。 洗脳とか、ゲーム脳化とか、そういった下衆な意図無しのやつを。 工業製品の取扱説明書は、読者に「…

分かりやすいマニュアルへの試行錯誤(1)

あるセカイ系の妄想 内容さえすばらしければ、1つの文章、1冊の本というものには世界を変える力がある。 そんな童貞臭いセカイ系の戯言を、昔は本気で信じてた。 研修医だった当時、聖路加だの虎の門だの、大手のブランド病院は「研修医が書いた」と称する レ…

電撃戦的治療

疾患の急性期は、対処をしないと患者はどんどん悪くなる。 医師と病気との戦いは、患者さんの体が戦場だ。力強い治療を行えば、より確実に敵を追い出すことが出来るかもしれない。しかし、片端から核爆弾を投下しようものなら、その土地は二度と使い物になら…

「流し買い」的な診断手法

救急外来などで患者さんを診察するとき、病歴から想像できる全ての鑑別診断を検討していたら、時間がいくらあっても足りなくなる。 患者さんの症状に対応する「全ての」疾患など想像しようものならその数に圧倒され、思考が停止してしまう。鑑別疾患の数は膨…

USAMRIID Blue Book 第5版

USAMRIID Blue Bookの第5版がいつのまにか出ていた。 アメリカ同時多発テロが会った当時、自分は米軍基地のすぐ隣の病院で勤務していた。当時5階にあった職員食堂からは米軍の輸送機の識別番号が肉眼で読めるほどで、基地にたいしてテロを仕掛けるならばこれ…

CPRについて

今後の改定部分。 CPRの記録者を必ず立てる。後でトラブルになったときに非常に役立つ。 心エコーは便利。とくにPEAでは必須。 単軸断で右室負荷を、長軸断で心嚢水の有無を見る。 特に心タンポナーデ(心筋梗塞には珍しくない)だけは見逃すと一生もので後悔…

一般内科というしごと

いろいろな科の医者がいる中で、一般内科医という職種は車でいうと軽トラックのような存在です。F1マシンのように特定の目的に特化した専門医とは違い、一般内科は汎用性があり、小回りが利き、どんな病院でも活躍できる自由さがあり、そして価格が安い(泣)……

参考にした書籍

日本語の教科書はどれも無難にまとまっているもののあまり面白くなく、 自分が参考にしているのはほとんどが海外の教科書。編集方針が 独特なものが多く、「こんな表現手法があったのか」と関心することも しばしば。 Amazonのおかげか、今では日本語の教科…

2004病棟ガイドについて

EBMばやりの昨今ですが、それに違和感を覚えることも多々あります。 自分も循環器の医者なので、ランダマイズドスタディにより検証されなかった 薬を漫然と投与したり、また過去のトライアルで効果が否定された治療をいつまでも 続けたりといったことはしな…