ブービートラップ

ゲリラ側の攻撃手段のひとつに爆弾を用いたブービートラップがある。ベトナム戦争で多用されたものであるが、米軍側のあまりの犠牲者の多さのためにブービートラップを踏むパターンが解明され、マニュアル化された。医療過誤の防止策に通用する部分もあるかもしれない。

基本原則

ドアは慎重に。可能ならば、使わずに別ルートを使用するのがベスト 敵の予想を超えたルートを使用する(梯子で2階の窓からや、通気口、天井裏など、敵の進路予想を裏切るようなルート) 不用意にそのへんにあるものに触れない(触れる時は入念にチェック。触れる必要のないものは触れずに無視)

予防方法

地雷やブービートラップの脅威に対抗するための最も効果的な方法は、源を断つ、つまりVC/NVAの地雷工場及び工場に対する物資の供給源を排除することである。

敵工場の機能を失わせるよりも重要なのは、敵が工場を運営できないように物資の供給源を絶つことである。すなわち、米軍の爆発しなかった砲弾、廃棄された装備や破壊が不適当な廃棄物などだ。事実、物資や再利用可能な廃棄物は、幾つかの要因で敵の手に渡っていることが明らかになっている。

爆発しなかった砲弾

第一の要因は、自由主義軍の航空、火砲、および艦船による火力支援の実施によって与えられ、敵にとって重要な供給源になる不発弾である。砲弾のいくつかは起爆せず、不発弾となって地雷やブービートラップになる可能性がある。海兵隊によって実施されるあらゆる火力支援が、こうした要素になるとみなすべきである。任務遂行のために必要以上の火力を要求しないよう注意せよ。

廃棄された軍需物資

第二の要因は廃棄、あるいは遺棄された軍需物資で、これもまた敵の地雷戦にとって重要な爆発物の供給源になる。以下の例に示すような事は、敵の活動を助けることになる。 過剰供給。過剰な供給が行われた部隊に、基本装備のみでの急な移動を要求する。残りの弾薬は、放棄されてその場に残る。 弾薬の利用手続き。部隊がASP(弾薬補給所)に余剰弾薬を戻そうとした際、手続きの不備によって宙に浮いた弾薬。 弾薬の濫用。部隊が土、汚れ、泥などの修復できる状態やささいな欠陥のために放棄した弾薬。 輸送による喪失。弾薬の再補給任務中のヘリコプターが撃墜されると、一部、もしくは全ての荷物がその地域にばら撒かれる。

個人でできる対処

腕や足を車両の外に出さず、土嚢による最大限の防御効果を得る。 他の者に対して適度な距離を保つ。 一人で行動しない。 「土産物」として魅力的に見えるような品物に触ったり、持ち上げたりしない。VC/NVAは、海兵隊員の好奇心や土産物を家に持ち帰りたがる性質を利用しようと狙っている。 バディシステムの使用。このシステムは、未熟な海兵隊員を引っ張っていくのに役立つだけではなく、システムの利用者に更なる安全率を与える。2名の海兵隊員が同一地域で一緒に行動することで、発見能力が増加し、相互に安全を保証し、情報を共有できる利点がある。

もちろん病棟にはゲリラ兵士などいないが、針の飛び出した廃棄物カート、ゴミの入ったポリ袋を手で丸めようとしたらメス刃が飛び出して手を傷つけたといった事例は、戦場でブービートラップに引っかかるのとほとんど変わりがない。

ゲリラ戦よりもさらに厄介なのが、「爆弾」を作った張本人がそれを自覚していないことで、中の見えないポリ袋につい針を捨ててしまう、針の入った包交車を押したままこちらに近づいてくるなどは、やっていることはテロリストとほとんど変わらないのに本人たちにその自覚がないので、被害を受けるこちら側にも緊迫感が出にくくトラップに引っかかる。

弾丸/爆弾を針や薬品に読み替えるだけで、病棟での針刺し防止に使える要素が見えてくるように思う。