Google 携帯を買った

何年ぶりだかに携帯電話を買い換えて、iモードも使わない人間が、スマートフォンに乗り換えたときの記録。 使い始めてそろそろ1ヶ月になるけれど、けっこう便利。

DoCoMo はあんまり教えてくれない

買い換える携帯電話は、正直なんでもよかった。今まで使っていた、機能のほとんどついていない、 ストレート型の携帯電話に不便を感じていなかったし、動く場所のないデザインは、そもそも壊れようもなかったから、 楽だったし。

電池の持ちが悪くなったのと、Mova のサービスがもうそろそろ終わってしまうだとかで、 「ストレート型の小さい奴を下さい」なんてお願いしたら、HT-03A という、Google 携帯を勧められた。

ネットで見て、Google 携帯というものがある、ということぐらいは知っていたんだけれど、 「Twitter 見れますか?」とか、「SDカード にほんのスキャン画像仕込んどいたら、あとから閲覧できますか?」とか、 何を尋ねても、「分かりません」という返事しか返ってこなかった。

右も左も分からないまま、とりあえず進められたプランどおりに購入して、2万円ちょっと。 月に最大7000円ぐらいかかるらしいんだけれど、 まだよく分からない。

買ったもの

買ったままの状態だと、この携帯電話は、充電器がついてこない。FOMA ユーザーの人だったら、 昔の充電器を使うように言われるし、 Mova ユーザーだと、昔の充電器はそもそも使えない。「電池切れたらそれで終了ですか?」なんて尋ねたら、 DoCoMo の人が、充電器をサービスで一つくれた。

とりあえず、クレードル型の充電器と、液晶保護シートを購入した。

クレードルは、とりあえず立てて置いておける充電器だけれど、一応普通に使える。その代わり、 携帯電話はそもそもクレードルに対応した端子になっていないものだから、つけ外しの時にはちょっと引っかかる。 HT-03A は、バッテリーが2つついてくる割に、DoCoMoの充電器だと、2つめのバッテリーが充電できないから、 こういうクレードルを持っていると、一度に2つのバッテリーを充電できるのが、便利と言えば便利。

液晶保護シートは2枚買った。「Plus」のほうは低反射、「Brilliant」のほうは、透明度が高い。 Palm の時代は、たしかOverLay Brilliant が定番になっていて、最初はこれを買ったんだけれど、 個人的には失敗だった。 相変わらず貼りやすいし、透明度は極めて高いのだけれど、画面の上で指を滑らせる操作をすると、ちょっとべたつく。

HT-03A には独立したキーボードがないから、操作しているとき、画面上で指を滑らせる機会が多い。 画面と指との摩擦というのが、結構気になる。OverLay Plus のほうは、低反射加工の分、 透明度はわずかに落ちるんだけれど、画面がさらさらしていて、操作が軽く感じられて、快適。

今のところ、買ったのはこれだけ。ソフトは今のところ、フリーウェアしか入れられないみたいで、 有償アプリケーションが出てくるのは、もう少し先らしい。

アプリケーション

HT-03A は、ユーザーこそそんなに多くないみたいだけれど、多くの人が、 自分の経験をネットで公開しているみたいで、調べるといろいろ出てくる。

買ったばかりのGoogle 携帯は、インターネットを閲覧する以外、 正直あんまりたいしたことができないんだけれど、アプリケーションを入れると、 いろんな機能が増える。

以下のアプリケーションを入れた。

  • FlickWnn: フリック入力という文字入力の機能を導入する。最初は小さなQWERTY キーボードしかついてこないんだけれど、フリックになれると、入力がずいぶん楽になる。
  • ドロイドあんてな: 2ちゃんねるまとめサイトを、さらにまとめて表示してくれる。 動作も軽いし、ちょっとの時間を潰したいときとか、どうでもいい話題に無駄に詳しく なれる
  • Twidroid: Twitterクライアント。ボタンが少し小さくて押しにくいんだけれど、 必要な機能は全て備えている。Twitter クライアントは何種類もあるみたいだけれど、 いくつか試して、これに落ち着いた
  • Toggle Settings: 同期やGPS無線LAN のオンオフが画面からできるようになる。 GPS オフ、無線LAN オフにすると電池の持ちがある程度よくなるので、1つの電池で 当直明けまで何とか使えるようになる
  • AK Notepad: メモ帳。メモを書いて、投稿したりできるらしい。入れたんだけれど、 メモは全部Twitter に放り込んでいるから、あんまり使っていない
  • 世界天気時計: 画面上に常駐して、指定した場所の天気を表示してくれる。病院の中にいると、 「雨が上がった」とか、そういう感覚が分からなくなって、こういうのがあると 和んだりする
  • Digital Clock Widget: iPhone みたいなデジタル時計が画面上に表示される。 純正のアナログ文字盤時計に比べて表示が小さくて見やすい
  • Steel: ブラウザ。標準のブラウザに比べると、動作が少し軽い。今はブラウザを 2種類使い分けているので、2つめのブラウザとして
  • ASTRO: ファイラ。買ったままだと読みに行けない、SDカードに置いたファイルを 読むことができるようになる。よく使う

普段使っているのはこれぐらい。

標準でついてきたアプリケーションは、ブラウザと、目覚まし代わりのアラームと、 あとはカレンダー機能、「ギャラリー」機能ぐらいしか使っていない。

SDカードにスキャンした教科書とか、漫画本を大量に格納しておけば、携帯図書館が作れるかも、 なんて期待したんだけれど、漫画本と、文庫本はぎりぎり読めるけれど、教科書をスキャンした奴は、 さすがに画面が小さすぎて、お話にならなかった。

Google のショートカット

一部の機能は、独立したアプリケーションを導入するよりも、Google の ホームページからリンクされているGmail とか、Google リーダーを、 直接読みに行ったほうが高機能だったりする。

HT-03A のブラウザを開いて、必要なページを「お気に入り」に登録したあと、 画面の空いた場所を長押し->「ホーム画面に追加」画面から「ショートカット」-> 「ショートカットを選択」画面から「ブックマーク」を選ぶと、 携帯電話の画面上に、それをタップするだけでブラウザが立ち上がる、 ショートカットが設定できる。

  • Gmail: HT-03A にはメーラーがついてきて、Gmail に新しいメールが来ると、 それを教えてくれる機能もあるんだけれど、ホームページを読みに行ったほうが 高機能で使いやすい。ちゃんとHT-03Aに特化したページを読みに行ってくれる
  • Google リーダー: これも同様に、RSS リーダーアプリよりも、そのページを 直接見に行ったほうが、使いやすいような気がする
  • iGoogle: PC からiGoogle のホームページに飛んで設定すると、 任意のニュースが自動配信されてみたり、メールやカレンダーが読みに行けたり、 便利に使える。一部のリンク先は、Googleの側で携帯電話で読みやすい形に 体裁を整えてくれるから、読みやすくて、ブラウザの読み込みも高速で快適

Google のショートカットは、携帯電話上でできることを、わざわざ Google のサーバーまでデータを取りに行って、携帯電話用にデータを 生成させているわけだから、なんだかすごく胡乱なことをしているんだけれど、 今はもう、どこにいてもネットにはつながりっぱなしになっているから、 こういう使いかたでいいんだと思う。

あとはGoogle ではないけれど、自分で作ったマニュアルの索引ページを ショートカットにして、やはり画面上に置いている。タップするだけで 索引が立ち上がって、必要な単語をクリックすると、当該ページに 飛べるから、病棟で便利。

Google には「モバイルゲートウェイ」というページがあって、このページに必要な URL を入れると、モバイル用途のページに変換してくれる。変換後のページをお気に入り登録しておくと、 軽くて便利。

使いかた

朝おきて携帯電話の画面を見ると、外の天気が表示されていて、 夜に入ったメールとか、Twitter の自分宛メッセージがあれば、 それが表示されている。あったらその場で読める。ごくつまらないことだけれど、 「自分でそれを捜しに行かなくてもいい」というのは、この状態に慣れてしまうと、 そのまま定着してしまう。どこまでも怠惰になれるものなんだなと思う。

布団の中でiGoogle のショートカットをタップすれば、今話題になってる新聞の見出しとか、 2ちゃんねる の話題なんかが、大体一覧できる。昔はそんなものは読みもしなかったのに、 画面をちょんと触るだけで見出しが並ぶと、つい読んでしまう。

フリック入力に慣れていなかった頃は、さすがに携帯電話で何かを打つということはしなかったんだけれど、 この入力は、一つの動作で一文字打てるから、ぎこちなくてもずいぶん速く打てるようになる。 2週間ぐらいでずいぶん慣れて、今は時々、携帯電話のまま、Twitter で遊んでる。

こういうのがほしい

インターネットの閲覧は、やっぱりどうしても遅い。回線も遅いし、さすがに携帯電話だと処理能力の限界があるのか、 たくさんの画面が並ぶページを開くとスクロールが追いつかないし、画面を4つも5つも開くような使いかたをすると、 ブラウザが固まったりする。

標準のブラウザを、Steel に変えたところで、そこまでの大差はないんだけれど、「画像読み込み」をオフに、 「JAVAスクリプトの読み込み」をそれぞれオフにすると、実質文字を読み込むだけの機能になって、 スクロールが指についてきて、とても快適になる。

ところがこれをやると、もちろん画像が読めなくなるから、たとえば自分のマニュアルページなんかは、 何が書いてあるのか全然分からなくなってしまう。ボタンアイコンを採用しているページなんかでも、 それがクリックできなくなるから、次のページにいけなくなったりする。

今はだから、標準のブラウザは全機能を生かした状態で、Steelのほうは最小限の機能に絞って、 画像が必要なページと、文字だけ読めればいいページとで使い分けているんだけれど、 こういうのを任意にフィルタリングできるアプリケーションがあったらいいなと思う。

PC だとProxomitron というローカルプロキシソフトがあって、回線が遅かった昔、 広告をカットして読み込みを速くしたり、 ブラウザクラッシャが仕込まれたページを回避するのに使ったり、昔はずいぶんお世話になった。 スマートフォンにも、ネットと電話との間に立って、ユーザーが必要な情報だけを画面に取り込んで、 細い回線を有効に生かせるようなアプリケーションがあるとうれしい。

機能的には、こういうのは十分可能なのだそうで、有償アプリケーションが解禁になって以降、 また探してみたい。

「できないこと」が文化を作る

「これができない」ことが、そのメディアの文化というか、空気みたいなものを決めるんだと思う。

Palm なら、それは「PC と切り離された、単独での使いかたができない」ことだったから、PCとの上手な連携を 意図したアプリケーションがたくさん生まれて、それを解消したスマートフォンからは、「連携」という 考えかたが消滅した。

スマートフォンは、インターネットと接続されているのが当たり前になったけれど、 今度は無線回線の帯域幅だったり、電池の容量から来る性能の上限が、 携帯電話で読みやすい軽快なサイトを作らせたり、携帯電話の一部機能をネット上に置くことで、 性能以上に快適な使いかたを考えたりだとか、きっといろんな使われかた、 デスクトップPC でのインターネットとは、また違った使われかたが出てくる気がする。

iモードに近い、簡素なページが増えてくるんだろうと思う。HT-03A は、たしかに PCと同じようなページ表示ができるけれど、装飾されたページは重くて、どこでも使える「軽便さ」みたいな ものとは、その重たさが釣り合っていないから。

たぶん「できないこと」を前提とした作り込みみたいなのが、文化を生む。

盆栽というメディアには制限が大きいけれど、その制限こそが盆栽を生んで、 迫力を出そうと大きな鉢植えを用意したら、それはもう、盆栽でなくなってしまうだろうし。

サイズの限界、電池の限界が制限を生んで、細いけれど、気軽に携帯できて、 常にネットワークとつながっている状態と、そうした制限とのせめぎ合いが、 たぶんスマートフォンというメディアに、新しい文化を作り出す。 それはPCで見るインターネットとは、もう違った何かなんだと思う。