こんな車がほしい

自動車のフロントガラスを透過ディスプレイにして、外の風景に、カーナビの位置情報と速度情報、 インターネットのコミュニケーション情報とを重積できたら、きっと面白い。

つぶやく車

  • カーナビに字幕機能をつけて、半径50m以内の「つぶやき」を地図画面に重積できたら、面白いと思う
  • 愚痴が増えたら近くで渋滞が発生しているのが分かるし、流れの中に、運転が乱暴な車がいたら、 やっぱり誰かがぼやくだろうから、あるいはそうした運転をしている本人から、反論が来たりするかもしれない
  • 文字入力の問題さえ解決できれば、「リアル湾岸ミッドナイト」ごっこだとか、「リアルイニシャルD」ごっこができる。 真夜中の峠道を走りながら、漫画のセリフを入力するのは相当に厳しそうだけれど
  • 前を走る速そうな車にやっと追いついて、その車から「何・・・だと・・・?」だの、「馬鹿な… 追いついてくる…!?」 だの、メッセージをもらえたら、走るのがもっと楽しくなると思う
  • 湾岸ミッドナイト」に出てくる年老いたエンジニアのつぶやき、湾岸ポエムをカーナビに収録しておいて、 首都高の特定の場所、原作どおりのタイミングでそれをカーナビにつぶやいてもらったら、原作の追体験が できる。原作を知らない人はびっくりするだろうけれど

移動の意味

  • 今はもはや、「移動」という体験それ自体に、価値を見出すことが難しい
  • 「移動」という体験は、時間が必要だし、共有できないから、語れない。娯楽というのはつまるところ コミュニケーションであって、自動車というメディアには、まだコミュニケーションと「移動」とを接続するための デバイスが欠けているような気がする
  • カーナビと、フロントガラスに透過ディスプレイを実装した上で、あとは「みんカラ」みたいな ネットコミュニティとを強引にくっつけると「移動」の意味が書き換わる
  • たとえば漫画みたいな「峠最速決定戦」みたいなイベントが、常設、非同期でできるようになる
  • 最速決定戦の時点ですでに法律違反だけれど、インターネットにリンクしたカーナビゲーションがあれば、 位置情報と向き情報、速度情報が記録できるから、他の車のフロントガラスに、誰かの「走り」を投影して、 それを実世界の風景と重積することができる。その人はその場にいないのに、任意の誰かと「バトル」ができる
  • その場所に行って、コミュニティに接続すると、その峠で最速の車と、バーチャルに競争できたり、 誰かの日記に「そこに行った」という記載があれば、バーチャルに「一緒に走る」ことができる。 「そこで走ったこと」が体験として共有できるなら、そこに行くことに、別の意味が生まれる
  • 湾岸線は時速300km の世界だから、法律の流れには真っ向から逆らっちゃうけれど、 これが首都高でできると、夜中に走る人が増えるし、速い車を買いたい、と思う人が増えると思う
  • その代わり、サーバーに全ての記録が残るから、湾岸に伝説を作った翌日には、 たぶん警察の人が自宅に押しかけて、一方的に祝福されてしまうかもしれない
  • もう少し平和に行くなら、誰かの旅行記をそのまんま追体験することができたり、「お勧めの店」みたいな記述を、 そのまんまカーナビに再現させたり、窓から見える店の上に「吹き出し」みたいな形で、コミュニティ上での 店の評判を重積したりもできるだろうけれど、たぶんよそ見運転で事故になる

自動車をコンテンツ生成装置にする

  • 「最速」文化だと、「そこに行くこと」に、別の意味が加わる
  • 榛名山最速とか、太良峠最速とか、環状1号内回り最速なんかはすごい人たちに取られちゃうから無理だろうけれど、 たとえば「国道16号小渕交差点最速の男」とか、カーブさえあれば、そこで小さな競争や、コミュニケーションが生まれて、 場所に意味が付加される
  • 「そこに行くこと」と、「その場所を語ること」とが、車というデバイスを使うことで接続されるなら、 それが楽しいと思う人も、あるいはいるような気がする
  • 実走データがある程度再現できるから、「このパーツが効きました」みたいな記述を読んで、実際にその場所に出向いて、 その人の「走り」を検証してみるとか、面白いと思う。あるいは「そんなパーツ無くても俺のほうが速かった」なんて 自慢してみせるとか。自慢の具が生めるメディアには、基本的に人が集まる
  • 「イニシャルD」の漫画みたいに、全力で車のアクセル踏みながら、ドライバー同士が語れたら、 きっとそれが正解なんだけれど、それをやると、みんな本気出す上に速度情報が残るから、 警察にサーバー持ってかれたら、大変なことになる
  • こういう妄想は面白いんだけれど、どうやっても事故率が高まりそうなのが、残念ではある

自動車の運転中は、ドライバーの頭は実質固定されているようなものだし、電源だとか、 デバイスの重量については、自動車なんだから無視できるレベルだと思う。ありものの技術で拡張現実を 応用するなら、まずは車からだと思うんだけれど、こういうの無理なんだろうか。。