おいしゃさんとおにくやさん
- お医者さん
- お肉屋さん
先頭に「お」がついて、最後に「さん」がつく職業。たぶん探せばいろいろあるんだろうけれど、 すぐに思いつくのはこの2つだけ。
「お」と「い」の音というのは、口の運動を考えるとつながりやすい。
この2つの職業に「お」がつく理由というのは、意味論的なものとか、歴史的なバックグラウンド といった問題ではなくて、単純に「い」の音で始まる職業だからなんじゃないかと思う。
子供があらゆる職業に「さん」をつけるのも、大人に敬意をはらうという意図があるんではなくて、 単純に「ん」で終わる単語は発音しやすいからなのではないだろうか?
10年ぐらい前に『人麻呂の暗号』という本がちょっと流行った。
『万葉集』にでてくる和歌は、古代朝鮮語の読み方で解読できるという趣旨だったけれど、 今では「そんなことはない」という結論になっているようだ。
昔から、「トンデモ系」として括られる本の中には、こうした「日本語を外国語として読む」、 あるいは「外国語を日本語として解釈し直す」という趣旨のものがけっこうあって、 少なくとも1冊の本を作れるぐらいのサンプルは集められるようだ。
言葉というのは、抽象的な意味を表現する一方で、その内面には身体的な要素を内包している。
言葉を発音するという行為は、単なる知的活動ではなく、 身体の問題と切り離して考えることはできない。
発音のしかた。母音のつなぎかた。こうした行動は、 顔面の筋肉や、顎関節の機械的な構造に、少なからず制約される。
- 全ての母音の発語に要するエネルギーを調べる
- それぞれの母音から、次の母音へと口の形を変化させるときに必要なエネルギーを調べる
- 各国の単語の意味論的な重要さと、それぞれの単語発音に要するエネルギーとを比較してみると、 何か面白い発見があるかもしれない。
日常用いられている単語というのは、どの国でもエネルギー的に一定の消費量以下におさまるように 作られているとか、特定の重要な意味を持った単語というのは、消費エネルギーがより大きいとか。 あるいは、「言葉の信頼性」といったあいまいな概念というのは、案外しゃべっている人の エネルギー消費量で定量化できるのではないかとか。
誰か調べている人、いそうなんだけれど…。