頻度の非対称性について

「どうしようもない人にぶつかる頻度」というのは、サービスを提供する側と、 サービスを受け取る側とではどうしても異なるけれど、救急車というサービスは、それが極端すぎる気がする。

救急車を邪魔する人は多い

患者さんを他の病院にお願いするときとか、 救急車に1 時間同乗していると、だいたい2 回ぐらい、死にそうな目に遭う。

救急車は、サイレンを鳴らして止らず走る。交差点に行き当たれば、 当然信号を無視して突っ込むし、自分の車線が渋滞していれば、 対向車線にはみだして、そのまま走行を続けたりする。

もちろんそれは、救急車両の特権として認知されたやりかたで、 行き当たる車の99 %までは、きちんと交差点で停止してくれたり、 対向車線でも道を譲ってくれるのだけれど、そうでない車が1台でも混じっていると、大変なことになる。

交差点にサイレン鳴らして進入したら、真横から猛スピードで車が突っ込んできて死にそうになったりだとか、 往来の両車線とも渋滞する中、みんながそれでも道を空けて、やっと出来上がった「真ん中」に、 何を考えているのか車が割り込んできて、救急車と衝突しそうになったりだとか。

自分が救急車に乗るのは、もちろん勤務時間中の1時間だけで、あの人達はそのまま、基本的に24時間の 勤務が終わるまで、こんな頻度での「死にそうな思い」が続く。

ひどい人を排除するのは難しい

道路を利用する人達のうち、99%までは「善良」だから、 サイレン聞いたら道を譲ってくれる、大多数の人達にモラルを訴えたところで、 これ以上、状況が改善することはありえない。

実際問題、モラルのないドライバーが飛躍的に増えた、ということでは決してなくて、 モラルのないドライバーの出現頻度は、たぶん今も昔もそんなに変わっていない。

恐らく大きく変化したのは、救急車の走行距離と出動頻度で、これが増えれば増えるほどに、 常識のないドライバーに行き当たる頻度も、また増えてしまう。

救急車が走るとき、ほとんど全ての車は停止している。みんなが動いている状況と違って、 救急車と行き交う車の数は、他の車両に比べて圧倒的に多い。

1 時間救急車に乗っていれば、その間に「追い抜く」車の数は、混んでいる道を使うと1000台近くになる。

相手が止っているんだから当たり前だけれど、「1000台に1台」クラスのひどいドライバーがその道を走っていれば、 救急車はもちろん、1時間に1回づつ、怖い思いをする羽目になる。

今は救急車の出動件数が増えて、24時間あたりの走行距離は、以前に比べて増えている。

以前行き当たるのは、せいぜい「町のチャンピオン」ぐらいのひどい人だったのだろうけれど、 今の救急車が行き当たるのは、人類代表クラスのどうしようもない人ばっかりだから、 こういう人達にモラルを説いても、救急車が救急車としての仕事を続ける限り、状況はたぶん、変わらない。

さすがにそろそろ何とかしてほしい

たまに救急車に乗ると、やっぱり怖い思いをして、救急隊の人達は、もちろんいつも、今よりもっと怖い思いをしてる。

怖いのに、昔よりももっと怖いのに、「救急車のサイレンがうるさい」なんてクレーム増えて、 今の救急車のサイレンは、昔よりも「優しい」音色に変更されて、相手の乗用車からは、 ますます聞こえにくくなるよう、改良されているんだという。

あの人達は、本当に良く持つなと感心するけれど、電波飛ばして、有無をいわさず信号を「赤」にするだとか、 せめて救急車を装甲車両に変更するだとか、何か考えてほしいなと思う。

こんな救急車があるよ」と教えていただいた。。
これなら安心して搬送できそう。

これとか。。

日本の救急車がこういう力強いデザインだったら、突っ込んでくる車とか気にしないで済むのに。