Community Engineering

「コミュニティエンジニアリング」という言葉を思いついた。

漢字で「組織工学」と書いてしまうと、Tissue Engineering になってしまう。

工学というのは、機械やコンピュータ、人間の社会制度といった、 人の力を拡大してくれる「何か」をよりうまく活用するための学問だ。

チームやコミュニティといった「人の集まり」というものもまた、 独立した個人の集団以上の力を与えてくれる。

1+1は2にしかならない。コミュニティを作ったところで、個人の力の総和は一緒。

それでもチームを作った集団が強くなるのは、力の使いかたがより効率的になるからだ。

良くできたコミュニティというものは、城砦都市に似ている。

  • 外からの攻撃に対する備えは、兵隊が分担する。
  • 城砦の中は平和が保たれ、自由な市民による経済が発達する。

城砦都市は、外からの攻撃に対してはほぼ無敵だ。その反面、中の人は武装していないから、 内側からの攻撃にはもろい。外敵に対する防御の壁は強力だけれど、 一度攻めこまれると、今度は市民の逃げ場を奪ってしまう。

まとまったコミュニティというのは強力な力を持つ。同時に、必ず何らかの弱点を持ってしまう。

弱点をカバーして、より効率のいい方法に対するニーズがあるところには、きっと工学が成立する。

コミュニティを立ち上げ、強化したり、コミュニティを乗っ取ったり、暴走させたり、 分裂させたり崩壊させたり。そんなことを考える学問。

  • いかに早くコミュニティを立ち上げるか
  • キーパーソンの抽出
  • コミュニティの目標設定
  • 得意分野と役割分担の問題
  • コミュニティの成果の分配の問題――賞賛は誰のものか?
  • 逆らえない「大きなテーマ」――世界平和を訴える日共細胞
  • 怪物を作る「リーダーの赦し」――アイヒマンの例
  • 相互不信のキャズムをこえろ――不信の創造から組織崩壊へ
  • みんなは仲間という病んだ考え
  • リーダーには従おう症候群
  • 仲間は守るものか?
  • 優秀な他人よりも劣った仲間
  • みんなは平等の悪夢――報償はどこまで分割可能か?
  • 怒った人にはとりあえず従う――怒りを用いた組織コントロール
  • コミュニティの流れは中から観察できない――ミクロネシアの星の航海術
  • スタンフォード監獄実験――個人の性格は立場が決定する

こんなテーマの本があったら、けっこう面白いと思うんだけどな…。。 O'Reilly あたりで、誰か書かないだろうか。

追記;コミュニティハックという言葉をすでに 提唱している方がいた。ハックのほうが響きがいい…。