食器洗い機とオーブンレンジを一体にしてほしい

単なる合体ではなくて、全自動洗濯機みたいに、同じ空間を違った目的に利用できるようなやりかたで。

レンジの掃除は面倒

オーブンレンジがあると、料理はたしかに便利になって、焼き物なんかはいかにもおいしそうに仕上がる。

あれはたしかに「いいな」と思うんだけれど、その反面、料理を終えたオーブンレンジは油汚れがどうしてもあって、 あれを洗うのはなかなかに大変そうで、結局フライパンに戻ってしまう。

ガスレンジを買うと、最近のはたいてい、真ん中にグリルが付いてくる。

ガスレンジのグリルはとても巧妙に設計されているらしくて、メーカーの人にいわせれば、あれを使って鳥を焼いたら、 他の調理器具はちょっと考えられないと勧められたのだけれど、それをやったあと、グリルを掃除するのが本当に大変。 グリルで鳥を焼くと、たしかにきれいに焼けるんだけれど、グリルというのは、言ってみれば小さなガスコンロをトンネル状に並べたものであって、 油が付いても取れないし、バーナーの真ん中に手を突っ込まないと洗えない。

オーブンレンジと食器洗い機を一体化する

料理というのは、材料を出したり切ったりするところから始まって、最後は必ず、「洗う」で終わる。

オーブンレンジだとか、あるいはジューサーミキサーもそうだけれど、どこかの工程を素晴らしく便利にする道具というのは、 たいてい「洗浄」工程の負荷を増してしまう。ああいった道具はたしかに便利そうなのだけれど、そこでなんとなく躊躇する。

料理の手順において、オーブンレンジが活躍している状況では、まだ食器洗い機には出番がなくて、 料理を食べ終わって、食器洗い機が動いているときには、オーブンレンジの仕事は終わっている。

お互いの機能は異なっているけれど、お互いに時間を共有することはないはずだから、両者は一体化できる。 一体化して、同じ庫内を違った目的に利用することで、「油で汚れたオーブンレンジを洗う」という工程が、 「食器を洗う」という工程と一体化できて、料理の手間が省けるような気がする。

ずぼらにやるなら、料理をするときには、オーブンから洗浄済みの食器を出して、料理して食べ終わったら、 油まみれになったオーブンに汚れた食器を放り込むと、オーブンの掃除と食器の洗浄が、一緒に終わって、次に使うときまでそのまま放置しておけば、 オーブンレンジの中には、洗浄された食器がそのまま乾いて格納される。

手順を円環にする

一連の手順を見渡して、「はじまり」と「終わり」とを見比べて、それを機械で強引に一体化すると、 手続きは円環になる。機能を一つにまとめることで、「終わり」工程を省くことができれば、その手順を取り巻く生活がずいぶん変わる。

食器洗い機と合体したオーブンレンジを実際に作ろうとすれば、機能はまるっきり異なるし、 食器洗い機の大きさも、オーブンレンジとして使うには大きすぎるだろうし、解決すべき問題はたくさんあるのだろうけれど、 実現すれば、食事の支度をする風景は、ずいぶん変わってくるのではないかと思う。

全自動洗濯機のやっていることもそうだし、あまり上手くはいかなかったけれど、循環式の24時間沸かしっぱなしの風呂釜なんかも「沸かす」と「洗う」とを結びつけたものだけれど、 機能がバラバラであって、使用時間が重ならない何かを無理矢理くっつけた道具というものは、くっつけることで、単なるキメラから、別の新しい何かになることがある。

食器洗い機と一体化したオーブンレンジというものは、それは要するに「洗わなくていい調理器具」になっていて、 今までだったらフライパンが引っ張り出される状況が、「そのほうが楽だから」という理由で、オーブンレンジの仕事に変わる可能性がある。

工程を眺めて、「はじめ」と「終わり」とを結びつける機械を想像するのは、けっこういろいろ見えてきて面白いと思う。