設計者の「運の良さ」
アポロの番組を見た。
あまりにも多くの運が、あのミッション支えてるの見て感激した。
アポロ8号は、月着陸船のコンピューターが着陸寸前に故障したのに、 気合で何とかなった。
アポロ12号は、大気圏突破する時に雷に打たれて、電気系統 全部吹っ飛ばされたのに、復活して月まで行った。
アポロ13号の不運は映画にまでなった。月着陸船に詰め込まれた、 様々な余剰物資が、あの生還を支えてくれた。 アポロ13が爆発した時、爆発の方向がもしも内側だったなら、 乗組員は瞬殺されてた。運がよかった。
アポロにしても、サターンロケットにしても、あるいはソユーズ宇宙船にしても、 結局成功したプロジェクトというのはこれぐらいしかなくて、 スペースシャトルですら、どちらかというと失敗プロジェクト。 サターンロケットは、20年たって、これからリバイバルかかる雰囲気。
「運がいい設計」ができる技術者というのがいるんだと思う。
何がいいのか、どんな人なのか、全然知らないけれど、 成功したプロジェクトの設計者、アポロ計画のあらゆる幸運、不幸を乗り切る 舞台を提供した、アポロの設計に関与した人たちには、 みんな神様がついてたんだと思う。
あれだけのドラマを抱えて、それでもほとんどの人たちを死なせずに、 地球に返した劇場となったアポロ宇宙船というのは、 やっぱりドラマを見たい神様が、人間に手を貸したとしか思えないぐらいの 神がかった設計なんだと思う。
どうすれば運を味方につけられるのか、見当もつかない。
同業者もまた、運のいい人と、引きの悪い人は厳然といて、 みんな「運」には無自覚だし、運を記述できる人なんていないけれど、 それでも厳然と「運」はそこに存在する。
それは神様が与えてくださるものなんかじゃなくて、あくまでも人が、 自覚的にであれ無自覚にであれ、どこかから、 自らの力で引き寄せるものなんだと思う。
第二次世界大戦中、「運が悪い」将軍は、米軍だと更迭されて、 日本軍だと、「間違ってはいなかった。運が悪かっただけだ」とか、許された。
米軍は勝って、日本軍は負けた。
何かこう、今の科学では認識不可能なものに対する敬意みたいなものが、大事なんだと思う。