会見記事を読んだ

島田紳助の引退記者会見 を文字におこしたものを読んだ。 一連の事実がきれいな物語として報告されて、きちんと管理された事実のみをを前提にした、突っ込みどころの少ない、自身が頭を下げる必要のない見解を組み立てているような印象を持った。 きれいな物…

価値の判断は面倒くさい

「それが自分にとって面白いのかどうか」を判断するのは面倒な仕事で、人間は、その気になればどこまでも怠惰になれる。 流行しているサービスや、景気の悪いときでもお金を生んでいる産業というものは、そうした面倒くささを回避する仕組みを持っている。顧…

曖昧さという対立軸

上司にとって、曖昧な指示は武器になる。 「臨機応変に」やってくれだとか、「患者さん第一に現場の判断で」考えろといった指示を出すことで、上司は部下に対して「当たりくじだけ持ってこい」と命じることができてしまう。 あいまいさは便利 成果を厳しく問…

状態を動作で記述すること

「アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 」 という本の感想。続き。 チェックリストを作ることの効果というものは、「正常」を言語化できることにあるのだと思う チェックリストを作るときには、たとえば「○○が正常に接続されていることを確認する」…

チェックリストについて

「アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 」 という本の感想文。 コンサルタント方面の書評サイトで取り上げられていた本だけれど、作者は外科医だった。翻訳した人も、米国で医学生をしておられるのだと。 チェックリストは大事 ちゃんと作れば、チェ…

Amazonのレビューについて

「韓国に関するフジテレビの報道姿勢はやりすぎだ」という話題があって、フジにスポンサーとして参加している「花王」が叩かれて、Amazon のカスタマーレビューがものすごいことになっている。 「この製品を買ってはいけない」だとか、「花王は韓国の手先だ…

賞賛の採算性

夏休みになると日記の宿題が出て、あれが嫌で嫌でしょうがなかった。 日記が大好きな子供なんて、今でもたぶん、決して多いはずがないのに、インターネットで文章を書く人はびっくりするぐらいに多い。 日記にはない、ネットが持っている大事な機能が「他人…

ロバストネスとゲーム性

自然災害や悪意を持った第三者による攻撃、「うっかりした」、あるいは「運が悪い」職員によるヒューマンエラーは、すべてシステムを攻撃する外乱であると言える。外乱に対する安定性、ロバスト性の高いシステムを設計する際には、システムを「ゲームとして…

砂場としての2ちゃんねる

ネットは年々厳しくなっていくように思える。 ルールは昔を引き継ぐものだから、昔からいる人たちはすでにルールを知っていて、ルールはますます複雑に、あとから入ってきた人には分かりにくいものになった。ネットワークでできることはずいぶん増えて、ネッ…

少しだけいいものが選べない

豊かになると、いろんなものが相対的に安価になっていく。ところがある業界が細っていく過程のどこかに、「少しだけいい製品が選べなくなる」という状態がたいていあって、ものが安くなることと、選択肢が減っていくこととはわけて考えないといけないのだろ…

不思議なものとのつきあいかた

「不思議なもの」は、今の世の中にだってたくさんある。それが証明された事実なら利用すればいいし、虚偽なら否定すればいいけれど、「不思議なもの」はそのどちらでもないものだから、距離を置いて「つきあう」ことが大切になる。 「不思議なもの」と対峙し…

説得の技術について

踏み込んだ解答は難しい 資料を調べて、何かを書いて発信するときには、まじめに資料を調べるほどに、踏み込んだ意見を述べることが難しくなっていく。 何かを発信する際には、「こうだ」と断言してみせないと迫力がでないし、何よりも書いている本人がつま…

悪い知識は大切

道徳は大切だけれど、道徳的な人間を生み出そうと思ったときに、道徳だけを教えたのでは片手落ちなのだと思う。道徳というものは、不道徳な「悪い知識」を土台にすることで、初めて堅固な力を持てる。 道徳の効用 理念や道徳というものは、「手続きに従えば…

コンテストのドレスコード

コンテスト形式によるアイデア探索を成功させようと思ったら、チームのドレスコードにも気を配る必要がある。負けられない看板を背負ったチーム、学会の名前で参加したチームや、サークル名を持たない、大学名をそのまま背負ったチームがコンテストに参加し…

「新聞の裏側」というサービスがほしい

メディアとしての新聞が、報道を通じて、裏側でどんなことを考えていて、世の中をどういう方向に持って行きたいのか、報道された記事だけを追っかけていても、なかなか見えてこない。 裏側の思惑みたいなものは、むしろ「報道されなかったこと」を通じると見…

恐怖と信頼

「状況の無防備さ」と「猜疑心」とを積算したものが「恐怖」の総量となる。猜疑心が低くなると、信頼は高まっていく。 無害な人間と、信頼できる人間とは異なる。いざというときに、無害な人間は頼られることなく、むしろ真っ先に切り捨てられる。信頼できる…

危機の対応と機会の対応

外乱と遭遇した際の対処には、「危機の対応」と「機会の対応」とがあって、目指すべき目標や、優先すべき物事が異なってくる。 危機管理者がまず行うべき仕事というものは、「それが危機である」と認識することで、危機と機会との区別に失敗すると、あとから…

想起のポイントを統一する

実際に試したことはないし、それを試みて成功している事例を耳にしたこともないのだけれど。 「あぁ」という体験のこと 自分は普段、患者さんのことを、病名と処方で思い出す。問い合わせに対して、その人の名前や住所を伝えられても、その患者さんのことを…

出会いの効用

何かを探すのと、出会うのと、そこに到達する手段が異なると、自身が受ける影響もまた異なってくる。 偶然の出会いを期待するのに比べれば、探すやりかたは圧倒的に効率がいいけれど、ランダムな何かを摂取することは、効率以上に重要であることも多い。 本…

タスクの階層化について

Google が提供しているToDo のサービスが、個々のToDo を階層化して管理できることに気がついてから、けっこう便利に使っている。 単純なリストを並べるのと、それを階層化するのとでは、ことにToDo リストにおいては意味合いが大きく異なってくる。階層構造…

評論について

単なる感想文と、評論とを隔てているものは、「トレードオフの可視化」の有無であって、分野の文理を問わず、評論を名乗る文章を書く人ならば、まずはこれをやってほしいなと思う。 軽量化のジレンマ 大昔、日野自動車がトラックの軽量化とコストカットを目…

いい道具のこと

何かやりたいことがあって、それにふさわしい道具を探すのが正統なのだろうけれど、何か面白い道具を手に入れて、それを使ってみたいがために、何かをはじめるケースというのもけっこうあって、いい道具というものは、そうした人を動かす何かを持っているの…

堅牢さについて

セキュアなシステムというものは、どこかに歴史を内包している。それぞれの階層は、それぞれの時代で使われた技術で作られていて、技術は階層をまたがないようになっている 乗用車のパワーステアリングは古典的なギア機構だけれど、アシスト貴構は、それを包…

三輪車の達人

物事には暫定的な解決方法と、根本的な解決方法とがあって、暫定的なやりかたは、すぐに結果が出るけれど、それに熟達することが、ならば根本的な解決に熟達することにつながるのかどうか、暫定的なやりかたを学ぶ差異には、それをよく考えないといけない。 …

壊れにくさについて

新しい携帯電話を買って考えたこと。 Galaxy Sを買った 今まで使っていたHT-03A という携帯電話がさすがに遅くて、Galaxy Sという機種に買い換えた。もうすぐ世代交代の、DoCoMo のスマートホンの中では古いほうだけれど、使っている人はまだまだ多い。仕事…

無能から見える風景

組織のリーダーが「情報を隠蔽」したり、あるいは「まわりをイエスマンで固めた」り、なにやら陰謀めいた振る舞いをしているときには、隠された意図があるのではなく、リーダーの能力が足りていないことのほうが多いのだと思う。 扱える事実には限りがある …

乱暴な言葉の使いかた

状況に火がつくと、たいていの人は足がすくんで立ち止まる。不明の状況にあって、動くことを決断するのは大変で、止まるとたいてい、状況はもっと悪くなる。 最初に動いて、乱暴な言葉で大声を張り上げて、背中を押せる人が、だから必然的にリーダーになる。…

下段の間合いを削る人

誰かに病状説明をするときには、その人と自分との「間合い」に気をつけるようにしている。とても丁寧な応対を繰り返しつつ、間合いを削ってくる人と、間合いの全く変わらない人とがいて、間合いを削ってくる人には、企業を運営している人からラーメン屋さん…

何かを呼ぶには3人必要

何かを信じたり、誰かを臣事させたりするときには「3人」というのがマジックナンバーになっている。2人と3人との違いがとても大きくて、1人と2人との違いというのは、それほど大事ではない気がする。 こっくりさんを呼ぶ儀式 典型的な「こっくりさん」の儀…

共通言語としての損得勘定

誰かと共同作業をするときには、最初の入り口として「私は損得勘定という言語で会話が可能な人間です」という挨拶が欠かせない。 損得勘定は、その価値こそ低いかもしれないけれど、それを理解できる人は最も多い。誰かと協力して行く中で、「良さ」とか「正…