過誤防止

良医という普通の存在

以前のケースも今回のケースも、医学的にはたしかに回避不可能なケースで、 それを結果責任で刑事告発されてはたまったものではないのだけれど。 一方で、同様のケースにあたっても何とかしてしまう医者というのも世の中には 多分いて、そういう人達はどんな…

偽医者稼業は効率がいい

ローリスクハイリターンの医療詐欺 偽医者をやっていた人が逮捕された。 評判は良かったらしい。たぶんそんなに大きなトラブルもおきてはいないはずだ。 偽医者という「仕事」は、リスクの割りに得られるものが大きい。もちろん犯罪ではあるけれど、 いろいろ…

変えないことが武器になる

そのイノベーションは望まれているのか 新しい手術方法、新しい処方。クリニカルパスや電子カルテ。病院は、毎日進歩している。 どんな進歩も「患者さんのため」。業界でもっともいかがわしいお題目は、ここでも大活躍だ。 変化を許容できない個人や組織は、…

報われない医療過誤防止の努力

人間という生き物はばらつきが大きくて、同じことをやっても、トラブル無く上手く行く人と、どんなベテランがやっても上手くいかない人とは確実に存在する。 安全を求める努力は自壊する 治療に関するトラブルというものは避けようがない。それを減らすこと…

高名の木登り

高名の木登りといひし男、人を掟てて高き木に登せて、梢を切らせしに、いと危く見えしほどは言ふ事もなくて、おるゝ時に、軒たけばかりになりて、「あやまちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。如何に…

情報を壁に貼る

CPRの手順、病棟でよく使う薬の作りかた、病棟で行われる代表的な化学療法のレジメンなどは、それを大きな紙に書いて、ナースステーションやERの壁に貼っておくと便利である。 壁紙に情報を張ることには以下のようなメリットがある。 うろ覚えによるミスをな…

ベッドサイドに情報を集める

入院患者の病気に関する情報、処方内容や病歴、臨床経過、温度板といったさまざまな情報は、すべて入院している患者さん本人のものだ。 自分の持ち物を離れたところに放置する奴はいない。病院ではなぜか、カルテや検査結果、病棟オーダーといった情報は患者…

フォネティックコード

業務にかける予算と、業務の確実性とは比例する。 現在の日本の医療行政は、これだけ少ない予算とマンパワーの割には高い信頼性を維持していると思うのだが、世間様は許してくれない。 何とかお金と人手をかけずに過誤の機会を減らす方法を、以前からあれこ…

難病の子出産は医師の説明不足

読売新聞の記事。 遺伝性難病の子供が生まれたのは、医師の説明が不十分だったためとして、東京都内の夫婦が日本肢体不自由児協会(東京都板橋区)に計約1億6200万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。裁判長は医師の説明不…

修羅場で情報を伝える

突入したらまず石を投げろ。投げ終わったらただちに突っ込め。 至近距離まで突っ込んで、相手の腹を突け。 絶対に退くな。退いたらやられるぞ。 「突破者」宮崎 学氏が、民青系の学生大会に突入する前に学生に発した命令がこんな言葉であったらしい。 学生同…

薬のランクづけ

研修医として入った病院には、深夜の救急外来で処方できる薬剤に階級があった。 夜間の救急外来は研修医が診察するルールであったが、研修医が自分の判断で処方できる薬、処方するのに上級生の許可がいる薬、さらに処方するには責任当直医師の判断を仰がなく…

ブービートラップ

ゲリラ側の攻撃手段のひとつに爆弾を用いたブービートラップがある。ベトナム戦争で多用されたものであるが、米軍側のあまりの犠牲者の多さのためにブービートラップを踏むパターンが解明され、マニュアル化された。医療過誤の防止策に通用する部分もあるか…

急変に強くなる

病院で仕事をしていると、患者の急変、家族の急なクレーム、医療事故等予想し得ない自体が生じることはよくある。このときに人がどう行動するものなのかを知っておくと、万が一のときに役に立つ。 災害時に見られる人間の行動には特徴がある。すなわち、人は…

過誤を減らす方法

失敗のメカニズム-忘れ物から巨大事故まで エアバスA310墜落のケース。エアバスはコンピューターと人間が相反する操作をした場合、コンピューターを優先する設計だったことが災いした。ボーイングは逆。しかしどちらが究極的に正しいのかは分からない。 思い…